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社説

与党の税制改正大綱 官邸への追随があらわだ

 借金漬けでも景気対策を優先する首相官邸への追随ではないか。

     与党は来年度の税制改正を盛り込んだ大綱をまとめた。来年10月の消費増税に備えて、自動車や住宅を買う人に減税を拡充するのが柱だ。

     安倍晋三首相は既に、買い物客へのポイント還元や商品券の配布を行う方針を表明している。減税も首相が検討を指示したものである。

     景気への目配りは大切だ。だが、ここまで対策が手厚くなると、負担の先送りに歯止めをかける増税の目的はますます薄まってしまう。

     大綱の策定を主導した自民党税制調査会はもともと財政規律を重視し、歴代首相からも一目置かれてきた。今回は官邸の大盤振る舞いに待ったをかけるべき局面だった。

     高齢化社会を支える財源として消費税の重要性はもっと高まる。それに応じた税制や負担のあり方を巡る踏み込んだ議論こそ必要だった。

     まず大事なのは、所得の再分配を強めることだ。消費税には、低所得者ほど相対的に負担が重くなる逆進性という課題がある。経済的格差を縮小する有力な手法が、富裕層ほど多い金融所得への課税強化だ。

     株式の配当や売却益の税率は20%と最高45%の給料の税率よりかなり低い。税率を上げ、消費増税時の低所得者対策となる軽減税率の財源にする案を財務省が検討していた。

     だが官邸が株価に悪影響を及ぼすと反対し、与党もあっさり追認した。株価を左右する大きな要因は日本経済が強いかどうかだ。成長戦略の成果の乏しさを棚に上げて、再分配強化を見送ったのはおかしい。

     もう一つ重要なのは、消費税率10%の次を見据えた議論である。

     10%への引き上げを決めた2012年の3党合意は、前提とした社会保障費の政府推計が25年度までしかなかった。最新の推計では、高齢化がピークとなる40年度の社会保障費は25年度から3割以上も増える。さらなる負担増は避けられない。

     急速な高齢化を乗り切る負担と給付の展望を示し、国民に理解を求めるのは政治の役割だ。痛みを伴う改革は合意形成に時間がかかる。早急に議論に着手する必要がある。

     なのに官邸は腰が重いままだ。与党が責任を自覚して、議論をリードしていくべきだ。

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