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馬場正男と撮影所・京都カツドウ屋60年

勝田友巳記者が、京都の撮影所と共に人生を歩んだカツドウ屋が見てきた映画戦後史をひもときます。火曜日更新。

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馬場正男と撮影所・京都カツドウ屋60年

/196 広場をくぼ地に改造

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 2006年の「花よりもなほ」は是枝裕和監督による初の時代劇だ。馬場正男は、古い仲間の三輪良樹と美術管理として関わり、是枝や美術監督の磯見俊裕を驚かせた。

 仇(あだ)を探す浪人を中心とした人間喜劇。くぼ地の底に傾いて建つオンボロ長屋が、物語の舞台だ。是枝のセットのイメージは、黒澤明の「どん底」「どですかでん」、あるいは「ルネ・クレールとかの古いフランス映画の下町モノ」だったという。

 磯見は時代劇なら京都とロケ地を探したが、適地が見つからない。京都映画の撮影所で馬場らと出くわし、美術のイメージを説明した。是枝の注文は「坂道の途中に建てられた、直線の無い、全て傾いている長屋」という難題。「家が傾いたりゆがんだりして、土壁も崩れて。東京の大道具さんに説明すると、図面にしろと。そうじゃなくて三次元的なゆがみをやりたいんです」と言う磯見に、馬場は「やれんことないで」と答える。しかも場…

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