メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

ハウス野菜収穫ロボに熱視線 選別の難しさクリア

収穫可能なアスパラガスを自動で認識して刈り取っていくロボット=佐賀県太良町で2018年10月30日午前11時52分、池田美欧撮影

 高齢化で担い手不足が深刻となる農業界で、ビニールハウスで野菜を自動収穫するロボット開発に熱い視線が注がれている。キャベツなどの露地野菜では収穫ロボットの実用化が進む一方、ハウス野菜は収穫対象の判別が困難な野菜があって開発が遅れている。こうした中、ベンチャー企業が佐賀県で実地試験をするなどし、来年5月をめどにアスパラガスの収穫ロボットの実用化を目指している。

     同県太良町のビニールハウスで10月下旬、神奈川県鎌倉市のロボット開発メーカー「inaho」と農家が実証実験をした。全長90センチ、幅45センチ、高さ40センチのロボットが土壌に引かれた白線に沿って進む。最大90センチ延ばせるアームの先端で、地面から真っすぐ伸びるアスパラを根元からカットし、背中部分にあるカゴに入れた。

     「1本の収穫に何秒かかるのか」「夜は稼働できるのか」。視察した福岡県の農家や農林水産省の担当者らから質問が飛び出す。メーカー側は現在1本あたり30秒かかる収穫を7秒に改良し、小型ライトを付ければ夜も動かせると答えた。農水省の担当者は「実現すれば、負担はかなり減る」と関心を示した。

     inahoは昨年1月設立のベンチャー企業で、技術者ら5人が働く。アスパラ農家から「かがんで収穫するので時間がかかり、体力的につらい」と相談されたのがきっかけで開発に乗り出した。

     しかし、ハウス内の収穫ロボットは開発が難しいとされていた。inahoの菱木豊社長(35)は「ハウス栽培の野菜は親木から伸びたものが多いため、親木と区別して収穫対象だけを取る技術が必要だった」と明かす。

     同社は赤外線センサー付きカメラを取り付け、収穫期を迎えた25センチ以上35センチ未満のアスパラだけを選別できるようにした。来年5月にまず20台でサービスを開始する予定でロボット本体は農家に無料で提供する。収穫量を相場で換算した金額の15%を代金として受け取る計画だ。実用化されれば、ハウス野菜としては初の収穫ロボットになるとみられる。

     実証実験に協力した農家の安東浩太郎さん(39)は「収穫にかけていた時間を品質の向上に使える」と期待。ロボット専用のハウスを新設し、農地を30アールから50アールに広げるという。視察した福岡県柳川市の農家、大薮真さん(45)も「農地を増やして人を雇うか迷っているので、ロボットは魅力的」と話す。

     菱木社長は「今後はキュウリやピーマンなどハウス野菜でも収穫できるようにロボットの開発を進め、農家に立ちはだかる壁を壊したい」と意気込んでいる。【池田美欧】

    「スマート農業」拡大予測

     人工知能(AI)やロボット技術などの先端技術を農業に活用する「スマート農業」は政府も推進の立場で、その市場規模は今後急激に拡大していくとの予測がある。

     調査会社の富士経済(東京)によると、スマート農業の2017年の市場規模は46億円だったが、20年には79億円、25年には123億円と急成長すると見込む。その中でも期待が大きいドローンやロボットの市場規模は17年の12億円から25年には4倍以上の52億円になるとみられている。

     同社大阪マーケティング本部の武林周一郎主任は、現在農業界を担う団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になるにつれ、ドローンやロボットの市場規模が飛躍的に伸びていくとみる。「農家の高齢化が進む中、先端技術に比較的抵抗がない若い世代の新規就農が見込まれる」と話す。

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. 過激ゆるキャラ「ちぃたん☆」に頭抱える高知・須崎市 「観光大使」自称 
    2. 広河氏「セクハラ、立場を自覚せず」 写真界の「権力者」暴走の背景は?
    3. デルタ航空、福岡・ハワイ線撤退へ
    4. ミニスカ「性犯罪誘う」に批判 菅公学生服が不適切表現を謝罪
    5. 高知・須崎市、1年でふるさと納税300倍 成功の裏にゆるキャラと“名演出家”

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです