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毎日新聞
アスリート交差点2020

行動が夢を叶える スピード強化、進化手応え=カヌー・羽根田卓也

 水の流れは、カヌーを通して感じないといけない。だからこそ選手のこだわりが出ます。スラロームで使うカヌーは、一般よりも幅が5センチほど狭く、細めのものに乗っています。2012年のロンドン五輪後から使い始めました。

 幅が狭すぎると不安定でバランスを取りづらいですが、スピードは出やすい。逆に幅が広ければ安定感が増してこぎやすくなりますが、加速しづらい。細くするほど乗りこなすのは難しくなります。しかし、ロンドン五輪後にさらに上の次元を追求しようと考えた時に、乗りこなせれば速いと感じた今の細めのカヌーが自分に合うと思いました。

 細めのカヌーを使おうと思ったきっかけの一つに、08年の北京五輪で金メダルを獲得した憧れのミハル・マルティカン選手(スロバキア)の影響もありました。彼が最初に使うと発表した時、「何を考えているんだ」と周囲は衝撃を受けました。「世界一細いカヌー」と言われ、最初は彼以外は乗らなかったと記憶しています。それほど難易度が高いものでした。リオデジャネイロ五輪の時は自分を含めて数人の選手が使うようになりました。乗りこなせるようになって成績が出てくると、少しずつ使う選手は増えていったように感じます。

 リオ五輪後、さらにスピードアップを追求してきました。座る位置を前方にすることでトップスピードにも乗りやすい。パドルもリオ五輪から3センチも長くし、筋力を強化することで推進力を上げました。今年の大会ではスピード負けはしなくなった半面、持ち味である技術力で劣る部分が目立ちました。世界のコースはテクニカルな設定が増え、弱点であるスピードにとらわれすぎたことで、世界の流れとは逆になってしまった印象です。

 ただスピード強化を図ってきた2年間は無駄ではなかったと考えています。進化への手応えも感じています。来年は加速できる力を残しつつも、トレーニングの仕方を変えるなど技術面を鍛え直すことで世界基準に近づけたいと思います。19年は東京五輪への代表選考も始まります。後戻りはできません。(あすは競泳・渡辺一平です)(タイトルは自筆)


 Q 不安克服の秘訣は?

 スロバキアを練習拠点に決める上での不安や、苦労を乗り越えた秘訣(ひけつ)を教えてください。陸上・山県亮太からの質問

 A 早く行って強くなりたい気持ちしかなかったので不安はありませんでした。拠点を移した当時はスロバキアが一番カヌーで強いと思ったから行っただけです。最初から「自分に合った環境」などと考える必要はないと思います。

 現地の選手の食生活はルーズだったり、ストレッチをあまりしなかったり、意外なことはありました。でも、頭をひねっても勝てない人はたくさんいます。それなら割り切って最大限の努力をするしかありません。海外に何を求めに行くかが大事だと思います。


 ■人物略歴

羽根田卓也(はねだ・たくや)

 愛知県豊田市出身。種目はスラローム男子カナディアンシングル。五輪3大会連続出場。2016年リオ大会で日本選手初メダルとなる銅メダルを獲得。ミキハウス所属。31歳。