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余録

アルパゴンは仏劇作家モリエールの喜劇「守銭奴」の…

 アルパゴンは仏劇作家モリエールの喜劇「守銭奴(しゅせんど)」の主人公である。「この連中は他にいうことがないと見える。お金、お金、お金……何かにつけて金のことばかり。お金! これが奴(やつ)らの守り刀というわけか」▲このせりふは誰かがアルパゴンを非難した言葉ではない。代金支払いを求めた相手にアルパゴンが浴びせた罵言である。相手を守銭奴呼ばわりして金の支払いを免れようというアルパゴン、出すのは舌もいやだという筋金入りである▲さて、こちらは自分の投資の失敗で生じた巨額損失を日産につけ替えたという容疑で再逮捕されたゴーン容疑者である。その金額たるや約18億5000万円、容疑の通りならばアルパゴンも恐れ入るに違いない支払いつけ回しである▲ゴーン容疑者は「つけ替えは実行していない」と説明したというが、東京地検特捜部はその後16億円以上の入金を受けていたと見ている。事件は有価証券報告書への報酬の過少記載から一転、会社に与えた実質的な損害が焦点となる▲長期勾留や弁護士抜きの取り調べが海外で日本の司法制度への批判を呼び起こしたこの事件である。裁判所が勾留延長を認めず、保釈が取りざたされた中での再逮捕がいっそうの注目を集めるのは必至で、地検は切り札を切った形だ▲米欧で一般的な司法取引が導入され、一方で自白偏重の「人質司法」に批判が高まる日本の刑事司法だ。グローバル時代の「司法摩擦」にどう応えていくのか、目を離せぬ地検の「切り札」捜査である。

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