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1000兆円を超す借金を抱えているのに、いつまで野放図な財政運営を続けるのか。
政府の来年度予算案は一般会計の総額が101兆円台と初めて100兆円の大台を突破した。来年10月の消費増税に備え、2兆円規模の手厚い景気対策を盛り込んだためだ。
安倍政権の発足後、予算規模はこれで7年連続で最大となったが、今回は大盤振る舞いが際立つ。
本来、消費増税の目的は、増える税収を借金返済に回し負担先送りに歯止めをかけるものだ。だが今回の増税分5兆円強は、安倍晋三首相が決めた教育無償化に充てるだけでなく景気対策で使い切ってしまう。
新たに発行する国債は32兆円台と今年度から1兆円減るが、税金以外の収入をかき集めたことによるものだ。国債への依存度は3割超と依然借金漬けだ。景気対策につぎ込まなければ借金をもっと減らせた。
対策の柱である買い物客へのポイント還元は最大5%と実質減税になる。商品券の発行対象は2400万人に上る。防災などのインフラ整備には1兆円超も計上した。
景気への配慮は大切だ。だが、こうした対策は効果が疑問視されているものばかりだ。防災対策も、直接関係ない景気刺激の役割を担わせると非効率な事業が紛れ込む。規模を拡大するほど、つけ回しが増え、将来の消費を落ち込ませるだけだ。
しかも政府は、現在の景気拡大期間が今月で戦後最長記録に並んだ可能性が高いとの認識を示した。ならば過度の対策は不要なはずだ。
景気対策以外も歳出増は目白押しである。高齢化で増え続ける社会保障費は過去最大の34兆円台にも上った。地方に配るお金を増やし、自治体が自由に使える資金も最大に膨らんだ。来年の参院選や統一地方選目当てとみられても仕方がない。
来年度は、政府が新たに作った財政健全化計画の初年度である。従来計画の見直しを余儀なくされたのは、当てにしたほど税収が伸びなかったからだ。今回は歳出抑制に本腰を入れる必要があった。まして増税で国民に新たな負担を求める以上、無駄をきっちり省くべきだった。
首相が憲政史上最長の政権を担おうというのなら「国難」と呼ぶ高齢化を乗り切る財政を目指すべきだ。