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張競・評 『エドゥアール・マネ 西洋絵画史の革命』=三浦篤・著

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 (角川選書・2160円)

画家を通し美術史を照射

 伝記を思わせる書名だが、その内容はマネの生涯と作品世界の紹介にとどまらない。マネの創作活動を通して、古典から現代にいたるまでの西洋美術の流れと、美術作品がなぜこのような構図や形態や色彩になっているかが、イメージの歴史という文脈において解き明かされた。

 マネの画業を理解することは西洋絵画史を理解するのに等しい。この独自の見解を説明するために、三つの視点が用意されている。一つは、マネがどのように十九世紀以前の絵画伝統を学び、自らの創作に取り込んでいったかを跡付けることである。二つ目は、古典の受容を徹底的に行ったマネはどのように絵画の革新を試み、また、その新しさはどこに現れているかを作品ごとに検証することだ。最後に、現代美術に及ぼしたマネのインパクトを示して、古典と現代をつなげるマネの位置と作品の意義を再確認した。

 破壊的な革新性を旗幟(きし)鮮明に打ち出し、物議や批判を怖(おそ)れないマネだが、修業時代から一八六〇年代前半にかけて、古典的美術を謙虚に学んでいた。美術館、個人コレクション、展覧会に足しげく通い、気に入った作品を模写しては、伝統の絵画から多くの養分を吸収した。やがて、過去の名作から構図や形態やモチーフを大胆に借用し、改作あるいは再解釈の試みを通して、自らの芸術のあり方を模索した。その過程はマネ…

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