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社説

シリア撤退、米国防長官辞意 トランプ独裁が目に余る

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 関係国や担当閣僚の意見を押し切って独りで決める。反対者は容赦なく切り捨てる。「米国第一」に名を借りたトランプ米大統領の独走と迷走が、さらに加速したようだ。

     事の起こりはトランプ氏が突然、シリア駐留米軍の全面撤退を発表したことだ。その直後、撤退に反対するマティス国防長官が辞任の意向を表明し、意見対立が表面化した。

     「何の見返りもないのに米国は中東の警察官でありたいのか」。ツイッターでそう語ったトランプ氏に対し、マティス氏は辞意を伝える手紙の中で「強力な同盟を維持し、彼らに敬意を示さなければ我々は自分たちの利益を守れない」と述べた。

     違いは明らかだ。トランプ氏は目先の利益を追い求め、長年積み重ねた米国の信用や国際社会の利益を軽く見る傾向が強い。イラク戦争へ突き進んだブッシュ子政権の単独行動主義にも増して大統領独裁の色が濃いのが特徴だ。

     シリアの過激派組織「イスラム国」(IS)は確かに衰退したが、再集結もあり得る。トランプ氏はオバマ前政権の早すぎる米軍イラク撤退が過激派を生んだとしてオバマ氏らを「ISの創始者」と呼んだ。この時の態度とは明らかに矛盾している。

     それに、IS壊滅の軍事作戦には欧州や中東の同盟国も参加し、これがシリアのアサド政権への圧力にもなった。米軍が撤退するなら、シリアの将来像について関係国と入念な意見調整を行うのが筋である。

     いかに「脱・警察官」をめざすとはいえ、シリアを2度空爆した米国が「警察官ではない」と言うのも無責任のそしりを免れまい。シリアではロシアとイランの存在感が増し米国と親密なクルド勢力が窮地に陥るだろうが、今後の中東情勢に米国がどう対処するのかも見えてこない。

     トランプ政権では元軍人(ジェネラルズ)が政策安定への重しになってきた。しかしケリー大統領首席補佐官が年内に、マティス氏が来年2月末に辞任する運びで「ジェネラルズ」は誰もいなくなる。

     イラン核合意離脱などに反対したマティス氏の辞任を境に、米外交はより「こわもて」になりそうだ。大統領再選をにらみトランプ氏が北朝鮮や中国に厳しい態度を打ち出せば日本も難しい対応を迫られよう。

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