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余録

毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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平成最後の年の瀬である…

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 平成最後の年の瀬である。どんな時代だったのか、振り返るテレビ番組が目立つ。時代を映し出す鏡の一つは「家族」であろう。平成の家族を描いたドラマといえば「渡る世間は鬼ばかり」を挙げる人は多いに違いない▲石井ふく子さんがプロデュースし、脚本は橋田寿賀子(はしだ・すがこ)さん。ともに90歳を超えた。ドラマは平成2年、1990年に始まり、28年になる。まさに平成と歩みをともにした▲石井さんは家族について昨年初め、本紙でこう話していた。「今、大きな転換の時だと思います。子供たちが学校から帰ってくると、機械の前に座り、機械と話をしたりしている。結局、家族同士がしゃべらなくなってきた」。家族の会話でドラマを作ってきた人だから、一層感じるのかもしれない▲核家族、少子高齢化……。時代につれ家族像は変わった。石井さんの言うようにインターネットやスマホの普及も影響している。この先、家族はどう変化するのか▲作家の眉村卓(まゆむら・たく)さんに未来の家族を描いた短編がある。主人公の男が買った家事用ロボットは老朽化し、もはや時代遅れだ。でも働く気は満々で、情が移り、とても処分する気になれない。男は「(昔の人は)こういう家族関係が生じることを夢にも考えなかったのだろう」と感じる。現実になるや否や▲短編に登場するロボットの名は「スギサク」。平成というより昭和に似つかわしい。家族のありようが変わっても、家族へ寄せる思いは変わらない。そんな作家のメッセージなのだろうか。

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