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SUNDAY LIBRARY

三浦 天紗子・評『エリザベスの友達』村田喜代子・著

認知症でも環境次第で穏やかに生きられる

◆『エリザベスの友達』村田喜代子・著(新潮社/税別1800円)

 認知症というと、コミュニケーション力を失い、わけがわからなくなった人をイメージしがちだ。哀れな最期と思うかもしれない。しかし、認知症の主たる症状は物忘れや判断力の低下であって、徘徊(はいかい)や暴言、暴力などの問題行動を起こすのは、叱られる、命令されるなどの不安やストレスにさらされた影響らしい。逆に、安心できる環境で過ごせれば、穏やかにその人らしさを維持できるのだという。

 本書の舞台は介護付き有料老人ホーム「ひかりの里」。登場する97歳の天野初音さんは、戦時中は天津租界にいて裕福だった。百貨店でドレスやハイヒールを試着し、お茶会を開いておしゃべりに興じた。敗戦後、長女の満州美(ますみ)を連れて大陸から引き揚げ、日本の地を踏む前後には辛酸を舐(な)めたけれど、初音さんの脳裏には、かつての華やかな記憶と悲惨な記憶とがまだらに入り交じる。いまを生きて思い出に浸っていると…

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