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消えない傷

今苦しんでいるあなたへ 小川たまかさん「自分の力を信じて」

ライターの小川たまかさん=本人提供

性暴力を取材するライター 小川たまかさん

 10代半ばの頃、本当に毎日がつらくて、もうダメかもしれないとばかり思っていました。何でこんなに毎日がつらいのかが分からず、ただ性格の悪い自分のせいだと思っていました。暴力や性暴力が原因のひとつだったと気づいたのは、30代になってからです。

 今、私はライターとして性暴力を取材していますが、たぶん私のようにだいぶ年をとってから自分の被害を振り返る人は少なくないのだと思います。

 10代やそれ未満のときは特に、自分の身に起こることをそのまま受け止めてしまいやすく、「変だ」と気づくことが難しいと私は思います。だからあなたが、「性的虐待」や「性暴力」という言葉を、自分の身に起こっていることだと認識して、この記事を読みに来たのだとしたら、それはものすごく賢く、力のあることだと思います。

 海外では、子どもを狙う大人がいることや、性暴力被害に遭ったときにどうすればいいのかをわかりやすく教えている国もあります。日本はまだ少し、その取り組みが遅れているかもしれません。日本は安全な国で、子どもを狙う犯罪なんてほとんどないと、多くの大人が思い込んでいるからです。

 被害に遭った子どもがいたときに、どう対応すればいいかを知っている大人ばかりではありません。交通事故や薬物、アルコール、たばこの危険を子どもに教えても、性暴力に遭ったときにどうすればいいかを子どもに教える大人はあまりいません。交通事故や薬物の危険のほうが、大人の目に見えやすいからです。

状況は変えられる

 こういう状況を作り上げている大人の一人でありながら、今苦しんでいるあなたに「頑張って」と言うのは、とても無責任だと思います。性暴力や性虐待を受けてきた人たちに取材すると、自分で支援場所や頼れる人を探し、なんとか生き延びてきた人ばかりです。支援が向こうから来てくれることは、なかなかない。SOSが聞き逃されることもあります。

 ただひとつ言えるのは、あなたがこの文章を読んでいるということは、自分で検索して調べたり、自分の今の状況を理解して助けが必要だと把握したりできる力を持っているということです。その力を大事にしてください。その力は一生、あなたを助けます。

 気分が落ち込んでいる日を黒、少しだけ前向きになれた日を白だとして、黒の日がしばらく続いて、もうダメだと思うかもしれない。もうダメだと思ってしまったとしても、誰ひとりあなたを責める権利はありません。でも、黒を白に変える力はあなたの中にもあることを、時々思い出してください。

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