日本人2人がバングラデシュの即席麺CM出演 「友好の懸け橋に」
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バングラデシュで放送されている即席麺のコマーシャルに、日本人2人が出演している。首都ダッカで暮らす女優の渡辺麻恵さん(38)と、現地でアニメスタジオを経営する水谷俊亮さん(33)だ。2人は、2017年に現地で音楽ユニット「Bajna Beat(バズナ・ビート)」を結成。“バングラデシュの紅白歌合戦”に出演するなど、人気を誇っている。過去に有名女優らが出演してきたコマーシャルに、日本人が起用された理由は?【中嶋真希】
「日本人のお客さんが来たら、なんて言うんだっけ?」「コンニチハ、だよ」。バングラデシュの裕福な家庭。ベルが鳴ると、浴衣姿の日本人がやってくる。みんなで現地の即席麺ブランド「チョップスティック」のラーメンを食べると、子供が思わず「モジャー(おいしい)」と叫ぶ。最後に、ピンクの浴衣を着た渡辺さんが、「No Tasting salt, still tasty(化学調味料が入っていなくてもおいしい)」と笑顔で言う――。昨年11月から、バングラデシュのテレビで放映されているコマーシャル。過去には、バングラデシュの映画賞を受賞した有名女優ビパシャ・ハヤットさんらも出演してきたシリーズだ。

10代のころから日本でタレント活動や舞台出演をしてきた渡辺さんは、2012年、路上で暮らす子供たちを支援するNGO「エクマットラ」の創立メンバーの一人である渡辺大樹さんとの結婚を機に、ダッカで暮らすことになった。現地でもCMやドラマで活躍し、17年に「バズナ・ビート」を結成。日本人がベンガル語で歌う珍しさもうけて、“バングラデシュの紅白歌合戦”と呼ばれる「ロビンドロ・ショルボール」のステージに出演。現地のテレビ局でたびたび特集が組まれる人気ぶりだ。


バングラデシュに住む数少ない日本人として
バズナ・ビートの活躍と、はしを意味する「チョップスティック」というブランド名の「日本っぽいイメージ」が合わさって、今回の出演が決まったという。監督を務めたファハド・カーンさんは、「日本人キャストを起用しようと調べ始めてすぐに、バズナ・ビートのことを知った。クリエーティブ・ディレクターも、2人のことを気に入って、いい作品になると思った。完璧なCMになった」と満足そうだ。渡辺さんも、「事前に絵コンテが渡されたり、納得いくまで何度も撮り直したりと、撮影チームが綿密に準備をして良い作品をつくろうという空気があった。参加できて良かった」と振り返る。
今回、コマーシャルに出演して、渡辺さんは「今まで以上に街で声をかけられるようになった」という。外務省によると、バングラデシュで暮らす日本人は、わずか848人(16年10月1日現在)。そんな中、バズナ・ビートがバングラデシュと日本の懸け橋として果たす役割は大きい。渡辺さんは「これからもこの国に住む数少ない日本人としていろいろな発信をしていきたい。日本でもバングラデシュの魅力を伝え、二つの国の友好に貢献し懸け橋となる活動をしていきたい」と話していた。