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社説

不祥事続いたスポーツ界 権力かざす指導に決別を

 暴力やパワーハラスメントなどの不祥事がこれほどスポーツ界を覆った年があっただろうか。

     レスリング界では女子選手へのパワハラが発覚した。日本大アメリカンフットボール部員に悪質なタックルを強要したとされる指導は社会問題に発展した。

     女子体操ではコーチが暴力を振るう映像がSNSを中心に流れて衝撃を与えた。このコーチは、自身がかつて暴力指導を受けていた経験を明かしている。その指導に感謝の気持ちを持っていたとも語った。

     共通するのは、上下関係を背景として指導者が暴力や威圧的な言葉で選手を追い詰める手法だ。そういった指導が競技力を高め、精神的な成長も促すとの考え方は時代遅れも甚だしい。

     旧弊を改めようと、競技団体のガバナンス(組織統治)強化に向けてスポーツ庁は円卓会議を新設した。日本オリンピック委員会(JOC)、日本スポーツ協会など統括団体も加わっている。

     スポーツ庁は来春までに競技団体が守るべきルールを策定することも決めた。だが、旧態依然とした意識と決別するには競技団体幹部や指導者の意識改革が何より欠かせない。

     2013年、当時の女子日本代表監督による暴力やパワハラが発覚した柔道界は透明性の高い組織を目指し、出直しを図った。

     内部の力だけでは改革は難しいと外部有識者も交え、組織を刷新した。しかし、それだけでは地方や若年世代の指導現場まで目を行き届かせることはできない。

     柔道界はそのような負の部分を正直に表に出す試みを行っている。先月、大阪で行われた国際大会のプログラムには最近起きた事例を掲載し、関係者に警鐘を鳴らした。

     心理学を学んだり科学的な指導法を身につけたりして選手と一緒に考える指導者がいる。トップダウンでなく、選手に経験から学んで考えてもらおうとボトムアップの成長を志向する指導者も増えている。必要なのは選手第一の発想だ。

     こういった取り組みはスポーツ界全体で共有できるものだろう。競技団体自らが主体的に健全性を確保し、いかに信頼回復に努めるかが問われている。

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