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社説

沖縄市町村に直接交付金 根拠法なき恣意的配分だ

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 米軍普天間飛行場の辺野古移設をめぐって政府と沖縄県が対立する中、政府が県を介さず市町村に直接渡すことのできる新たな交付金30億円を来年度予算案に計上した。

     従来の沖縄振興一括交付金は国から県に支出し、県がその3割を市町村に配分してきた。2014年度の1759億円をピークに来年度は1093億円まで減っている。

     県が要望していたのは一括交付金の増額であって、新交付金については寝耳に水だった。8月の概算要求になかったものが突然、関係者への説明もなく予算案に盛り込まれた。

     9月の知事選で辺野古移設に反対する玉城デニー氏が当選したことと無縁ではないだろう。市町村に対する県の影響力をそぐ狙いがあるのではないかと県側は警戒している。

     そもそも一括交付金制度は民主党政権時代、自治体側が使い道を選べる自由度を広げ、地方分権を進める目的で導入されたものだ。安倍政権に代わって、全国を対象とした制度は13年度に廃止された。

     沖縄のみに残されたのは基地負担などの特殊事情を考慮したからだ。沖縄振興特別措置法に基づき、県のつくる事業計画を国が支援する仕組みになっており、市町村への直接交付は想定されていない。

     政府は新交付金について「一括交付金を補完するもの」と説明している。しかし、その裏付けとなる法律はない。特措法に基づく一括交付金とは全くの別物なのに、あたかもその一環のように見せかけ、国が恣意(しい)的に配分できる予算の確保を図ったように思えてならない。

     県は来年2月に辺野古埋め立ての是非を問う県民投票を予定しており、投票の実施には県内市町村の協力が必要になる。ただ、一部に協力を拒否する動きもあり、そうした市町村に優先的に配分するようなことを政府は考えていたりしないか。

     政府の政策に賛成するかどうかで補助金の配分を決めてよいのなら、与党系の首長がいる自治体ばかりを優遇できることになる。

     国費の地方への配分は公平・公正でなければならない。特定の自治体に配分するには適正な法手続きが必要になる。そんな民主主義国家として当たり前の原則を安倍政権は軽んじているように見える。

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