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毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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ウィリアム・ハムリーさんが念願のおもちゃ屋を…

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 ウィリアム・ハムリーさんが念願のおもちゃ屋をロンドンに開いたのは1760年のことだ。その約250年後、英国王室御用達の認定も受けた世界最古のおもちゃ屋ハムリーズで、ちょっとした革命が起きる▲3階をピンクで「女の子向け」、5階を青で「男の子向け」としてきた表示が全て白になり、男女の区別も取り払われたのだ。その翌年の2012年、草の根運動「Let Toys Be Toys」(おもちゃはおもちゃのままで)が全英で始まった▲おもちゃにも子どもたちにも罪はない。問題は大人が勝手に男女の役柄を決め、子どもに押しつけること。おもちゃに選ばれる権利、子どもに選ぶ権利を戻してあげようという運動だ。賛同した小売店は15にのぼり、カナダや米国でも同様の動きが広がる▲ピンク組と青組に色分けする慣習は想像以上に罪深い。将来の職業選択にも影響するという。科学や技術と縁のあるおもちゃは男の子向けが女の子向けの3倍もあるとの調査結果と、理系に進む女子が少ない現実はつながっている。英国工学技術学会が警鐘を鳴らす▲東京都内の百貨店をのぞいてみた。1歳児が「形」を学ぶブロックセットも「初めての顕微鏡」も、青い箱に男の子の写真が。一方、人形の赤ちゃんをくるむ抱っこヒモはピンクの包装で女の子の写真付きである▲海外で「革命」を促したのは、親たちからの「どうして?」だった。男女平等度で世界百十何位が常連の国は、「どうして?」が全然、足りない。

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