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キャンパスNOW

SDGs 理念に通じる教育を目指す 創価大・馬場善久学長

創価大の馬場善久学長

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 国連が、地球を守るための人類共通の課題「持続可能な開発目標」(SDGs)を採択して4年になる。開学当初からSDGsの理念に通じる教育・研究を展開し、充実させてきた創価大の馬場善久学長にその意義と取り組みを聞いた。【川上克己】

     ――創価大は「創造的人間」という教育目標で知られています。

     創立者の池田大作先生は1973年の第3回入学式で「創造的人間たれ」との言葉を贈りました。価値を創造し、人類に還元することが使命だと若者に伝えたのです。自分の幸せばかりを追い求めるのではなく、人類が直面する課題の解決のために知恵を絞る――。それが「創造的人間」のエッセンスです。そこから、創価大が大事にしている「地球市民」という考え方に進化し、世界への貢献を柱に据えて教育に取り組んできました。

     ――SDGsをどう評価していますか。

     利害がぶつかり合うこともある国連という場で、SDGsが全会一致で採択されたことは素晴らしい出来事です。たしかに人類は多くの深刻な課題に直面しています。しかし、私たちは状況を黙って受け入れるだけの存在ではありません。よい変化を作り出す主体になれるのです。

     SDGsは、民族、国、言語などの違いはあっても地球の永続のために最低限これだけのことをやろうという呼びかけです。この精神は、創価大学が取り組んできたことと、広く深く、親和性があります。

    平和と人権重視

     ――どのような取り組みに親和性を感じますか?

     全学生が受けられる「平和と人権」という講座を作ったり、環境問題について研究したり、授業で扱ったりしてきましたが、2010年にスタートした「GCP」(グローバル・シティズンシップ・プログラム)はその代表例です。

     1学年30人ほどの学生を学部横断で選抜し英語、数理、社会問題に取り組んでもらいます。1年の締めくくりに2週間ほどフィリピンで研修する前に、地域の課題を調べます。そして現地で実際にフィールドワークをして解決策をまとめ、発表するのです。

     このプログラムは軌道に乗り、現地まで行って英語でプレゼンテーションしてくる学生が目立って増えました。SDGsにつながる取り組みです。

     日本政府が16年にケニアで開いた「アフリカ開発会議」(TICAD)のサイドイベントも印象的でした。創価大学4年の女子学生がアフリカの児童・生徒の理数系科目の理解向上のために、折り紙とそろばんを導入するプロジェクトを発表したのです。日本から参加した学生のなかで最優秀の評価でした。

     14年には「国連アカデミック・インパクト」(UNAI)に加わりました。世界の高等教育機関の連携を推進する国際プロジェクトです。創価大がUNAIに参加したことを踏まえ、学生団体「ASPIRE SOKA」はワークショップを開くなど、SDGsの周知に力を入れています。

    700人の留学生

     ――学生の意欲的な行動を後押ししてきた印象を受けます。

     SDGsが成功するか否かの鍵は、若者にあります。若者がSDGsを進める主体になるかどうか、そういう若者が育つかどうかにかかっています。

     創価大で学生たちは人類が築いた市民社会の基本的な価値を共有できる力を身につけます。生涯学び続け、社会に貢献する基礎をつくります。そのためには、予測のつかない変化に対応でき、生き抜く基盤を持って卒業する教育課程が必要です。

     創価大には世界52カ国・地域の約700人の留学生がいます。全学生の約1割です。キャンパスで多様な考え方に触れてほしいからです。それが、自分はこうだと規定してしまっていた殻を打ち破るきっかけになるはずです。

     グローバル化の波が後退することはありませんし、日本は世界から閉じていては生き残れません。個人も、多様な人たちと力を合わせて何かを成し遂げる力があれば、それだけ自分の目標を達成できる可能性は高まります。

    「積極性」が鍵

     ――創価大への進学を目指す若者に何を期待しますか。

     積極性です。ただ待っていても、おもしろいことは何も起きません。創価大学には学びのリソース(資源)が無限にあります。そして学びは創価大学のキャンパスで閉じていません。積極性という鍵さえあれば、インターネットを含め、世界への扉は無限に開かれています。そこで得たリソースを世界のために生かしてほしいと願っています。


    プランクトン工学、エチオピアで研究 学内でシンポ開催も

    循環型社会の実現を目指して開かれた創価大とエチオピア・バハルダール大の研究者の会合

     創価大大学院の戸田龍樹教授らのチームはアフリカ・エチオピアで、植物プランクトンを使った、持続可能な循環型社会づくりを目指す「プランクトン工学」に取り組んでいる。

     富栄養化により現地の湖で過剰に繁茂した水草を利用して大量に培養した植物プランクトンを原料に、油や化粧品、食品などを生産。新しい産業をおこしたり、人材を育てたりする計画で、SDGsの理念に重なるプロジェクトだ。

     創価大は2018年5月、プランクトン工学に関する初めてのシンポジウムを学内で開催。共同研究している現地の大学の学長も出席し、計画に強い期待を寄せた。持続可能な社会の実現を目指す高度な研究を通じ、世界各国とのつながりを深めている。

    「ロヒンギャ難民」映画で 学生団体が上映会開く

    力を合わせ、上映会を成功させた「ASPIRE SOKA」のメンバー

     創価大の学生団体「ASPIRE SOKA」のメンバーは2018年10月、ミャンマー国軍から迫害を受ける少数派イスラム教徒の姿を追ったドキュメンタリー映画「アイ・アム・ロヒンギャ」の上映会を開いた。映画は、第13回UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)難民映画祭の作品の一つ。国連の平和運動を推進する「ASPIRE SOKA」が、大学と協力して上映にこぎつけた。

     上映会は2日間にわたり創価大ディスカバリーホールで開催。上映に先立ち「ASPIRE SOKA」代表、古賀優奈さん(法学部4年)が難民問題の現状や課題などを説明し、「自分にできる一歩を踏み出して」と訴えた。

     2日間で学生や一般市民ら約850人が鑑賞。ロヒンギャ難民がさらされている差別や迫害の実態と、困難を乗り越えようと苦闘する姿に触れた。


     ■ことば

    SDGs

     「Sustainable Development Goals」の略称。「エスディージーズ」と読む。米ニューヨークで2015年9月に開かれた国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ(行動計画)」に盛り込まれた国際的な目標をいう。

     具体的には、貧困、飢餓の撲滅をはじめ、気候変動への対策、ジェンダーの平等など、地球を守るために人類が30年までに達成すべき17の大きな目標と、それぞれの目標を達成するための169の「ターゲット」からできている。

     地球上の「誰も置き去りにしない」の精神を掲げ、多様性・包摂性のある社会の実現という普遍的なゴールを定めている。達成に法的拘束力は設けず、各国の政府、企業、NGO、有識者らの自主的な取り組みを求めている。

     日本政府は16年、首相を本部長とする「SDGs推進本部」を内閣に発足させ、目標の達成に向けた取り組みを本格的にスタートさせた。17年には歌手のピコ太郎さんが、国連本部で開かれた日本政府主催のレセプションに出席。世界でヒットしたパフォーマンス「PPAP」にSDGsの目標を盛り込んだ踊りと歌を披露し、話題を呼んだ。


     ■人物略歴

    ばば・よしひさ

     1953年、富山県出身。1975年、創価大経済学部卒。カリフォルニア大学サンディエゴ校で博士課程を修了。Ph.D.を取得。創価大経済学部講師、助教授、教授などを歴任し2005年に副学長に就任。13年から現職。専門は計量経済学。

    創価大

    公式HP:http://www.soka.ac.jp/
    所在地:〒192-8577 東京都八王子市丹木町1-236
    電 話:042-691-2211

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