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社説

新元号の公表4月1日 細心の注意で混乱回避を

 今年5月1日の新天皇即位に伴う新元号について、安倍晋三首相が即位の1カ月前にあたる4月1日に閣議決定し、同日中に公表することを明らかにした。

     首相は記者会見で「国民生活への影響を最小限に抑えるため」と述べた。しかし元号の変更に伴う官民のシステム改修は短期間での綱渡りとなり、混乱を招く可能性は少なくない。改修作業を進める企業などの負担も重い。政府は国民生活に細心の注意を払ってほしい。

     政府は当初、改元に伴う混乱を避けるため、準備期間として半年以上空け、昨年夏ごろの新元号の公表を検討していた。だが、早期に公表すれば国民の関心が新天皇に向かい、陛下と新天皇の「二重権威」が生まれるとする保守派に配慮し、公表時期をずらすことにした。

     首相の支持基盤の保守派は事前公表自体に反対で、政府が新元号を閣議決定した政令に新天皇が署名して公布することを望む声が強かった。代替わりと同時に改元を行う「一世一元制」の伝統を重視するからだ。

     政府内では閣議決定と公布の時期を数週間空け、新天皇が政令に署名・公布する「分離案」も検討された。しかし政令は通常、閣議決定から数日以内に公布される。新元号の政令だけを特別扱いするのは、天皇の政治的関与を禁じる憲法に照らして適当ではないと結論づけた。

     政府が最終的に現天皇の署名による公布としたのは、分離より適切ではあった。とはいえ1カ月前の公表としたのは、国民生活を最優先したとは言い難い。

     そもそも今回は、事前に改元の準備をできる利点があった。なのに、政府はそれを十分に生かすことができなかった。西暦を使う国民が増える中、新元号への切り替えが遅れることは、新元号が国民の間に定着するのを妨げる要因にもなる。

     4月1日は有識者による「元号に関する懇談会」、衆参両院正副議長の意見聴取などを経て、新元号が閣議決定される。新元号の決定と公表があわただしく行われた平成の代替わりとは違い、準備期間がある。

     政府には前例踏襲ではなく、今の時代にふさわしい、国民により開かれた手続きと公表の方法を検討するよう求めたい。

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