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仏が旧植民地に美術品返還へ アフリカ諸国に拡大も

フランスからベナンに返還される予定の木像。19世紀にダホメ王国(現ベナン)でつくられ、1882年に仏軍がフランスに持ち帰った=パリのケ・ブランリ美術館で2018年12月28日、賀有勇撮影

 【パリ賀有勇】フランスのマクロン大統領が、旧植民地の西アフリカ・ベナンからフランスに持ち出された美術品を返還する方針を決め、他の旧植民地でも返還を求める動きが広がっている。アフリカ各地の美術品の多くは旧宗主国などに持ち出された歴史がある。マクロン氏は返還問題を話し合う国際会議を今春にもパリで開催する方針で、議論が広がるか注目される。

フランスのマクロン大統領=パリのエリゼ宮で2018年12月31日、ロイター

 仏大統領府は昨年11月、パリのケ・ブランリ美術館が所蔵する美術品26点をベナンに返還する方針を発表した。19世紀末にフランスがダホメ王国(現ベナン)を征服した際の「戦利品」として持ち帰ったものだ。

 同美術館は、アフリカやアジアの美術を好んだシラク元大統領の肝煎りで設立された。アフリカの美術品約7万点を所蔵し、うち約4万6000点が植民地時代にフランスに持ち込まれたとみられる。

 マクロン政権の方針を受け、フランスの植民地だった西アフリカのセネガルやコートジボワールも相次いで美術品返還を要求した。

 1972年に発効した国連教育科学文化機関(ユネスコ)の文化財不法輸出入等禁止条約は、要請があれば盗難文化財の返還措置を講じるよう求めている。仏政府は2009年、パリのルーブル美術館が所蔵していたエジプトの壁画が盗品だったとして返還した。

 だが、条約発効前に盗まれた文化財は対象外だ。フランスの文化遺産法は、文化財を公共財産と位置づけて譲渡などを禁じており、返還のためには特別法の制定などが必要となる。サルコジ元大統領は10年、1866年に仏軍が朝鮮半島から持ち出した古文書を、長期貸与という形で韓国に返還した。

 仏政府は今後、特別法の策定なども含めた返還方法を検討する。

 一方、AFP通信によると、ケ・ブランリ美術館のマルタン館長は返還に理解を示しつつも、「贈り物としてフランスに渡った美術品も多い」と主張。「原産国」の美術館に貸し出すなどの方法で、現地の人々が触れられるようにすることを提唱している。

 大英博物館のある英国や王立中央アフリカ博物館のあるベルギーなども、アフリカの美術品を多数所有している。ロイター通信によると、アフリカ諸国の文化財の約9割が欧州に持ち出されたと推計されている。

 英国やドイツ、オランダ、スウェーデンなどの美術館は昨年10月、所蔵するアフリカの美術品を、ベナンやナイジェリアの美術館に貸与することを決めた。しかし、エチオピアやギリシャなどは「盗まれた文化財をなぜ借りる必要があるのか」として拒絶している。

 マクロン氏は今年春に、欧州、アフリカ諸国を招いた会議をパリで開き、話し合いの場を設ける方針だ。

 マクロン氏の美術品返還方針は仏国内で驚きをもって受け止められた。仏史上最年少の39歳で大統領に就任したマクロン氏の「歴史観」はたびたび耳目を集めてきた。大統領候補だった17年2月には、旧植民地の北アフリカ・アルジェリアを訪問し、かつてのフランスの植民地政策について「人道に対する罪だ」と発言。フランスでは植民地政策を肯定的に捉える人も少なくないため、物議を醸した。

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