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我が遺産を社会へ 一軒家を障害者向けに

福岡市内で市民から遺贈のあった一軒家は、昨年12月から障害のある人向けのシェアハウスとして活用され、利用者が自立を目指して生活している=福岡市東区で2018年12月20日午後4時40分ごろ、青木絵美撮影

 相続人がおらず国庫に引き継がれる財産が近年増えていることが、明らかとなった。そんな中、生前に亡き後の財産の寄付先を自分で決めて遺言に残す「遺贈」への関心も広がっている。「国庫入りするよりも、自分の思いに沿う社会貢献に使ってほしい」と願う人が目立ち、相談は全国で年間約1000件に上っている。

     福岡市東区の住宅街の一角で昨年12月、改修された一軒家がシェアハウスとしてオープンした。「福祉に役立ててほしい」と同区社会福祉協議会に市民が遺贈した建物だった。現在、就労支援事業所に通う身体障害と精神障害の男性2人が自立を目指して共同生活を送っている。事業所スタッフは「ここが障害のある人たちの希望をかなえ、地域の人などとも関わり合える場になれば」と期待する。

     遺贈を考える人の事情はさまざまだ。福岡県内の障害者施設に1年半ほど前まで暮らしていた身体障害の60代女性は、同じ施設で出会った夫に先立たれ、独り身になった。子はおらず、自身の姉妹とも疎遠だったため、女性は、世話になった施設の運営法人に財産を寄付するとの公正証書遺言を作った。

     女性はその約2週間後に亡くなった。法人は女性の思いをくみ、身寄りのない施設利用者のための共同墓の建設費用に充てることにした。女性と夫の遺骨も納められる予定だ。

     女性の遺言作成に関わった司法書士の柳橋儀博さん(38)=福岡県糸島市=は「本人の思いを乗せて財産を生かすことができたと思う」と語る。柳橋さんの元には「財産が国庫に入るぐらいなら」と遺言書作成の相談が複数寄せられている。

     遺贈への関心の高まりは全国的で、2016年に設立された一般社団法人全国レガシーギフト協会(東京)によると、全国16団体を窓口にした無料相談には年間約1000件の問い合わせがあり、九州の窓口で公益財団法人佐賀未来創造基金(佐賀市)の山田健一郎代表理事(41)は「元気な50代の問い合わせもあり、財産を出身地などで生かしたいという流れはある」と話す。

     協会の鵜尾(うお)雅隆・副理事長(50)は「遺贈は人生の集大成となる社会貢献。遺贈を決めた団体へボランティアに出向くなど、残る人生を前向きに過ごす原動力にもなっている。今後は、関心を持った人が実際に希望する遺贈をできるようなサポートが重要だ」と話している。【青木絵美】

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