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余録

古代アテネの民主制を代表する政治家ペリクレスも…

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 古代アテネの民主制を代表する政治家ペリクレスも公金をめぐる不正を告発されたことがある。詳しい事情は不明だが、背景には疫病や戦争への民衆の不満があった。彼は自らが整えた弾劾制度の標的になった▲「国を愛し、金銭の誘惑に負けぬことで私は誰にも引けをとらない。不正のそしりを浴びせるのは間違いだ」。ペリクレスはこう弁明したが、民会は巨額罰金刑を下す。ほどなく市民は優れた指導者を断罪したのを悔やむことになる▲もしかして法廷のゴーン容疑者もこんなペリクレスの故事に自らを重ね合わせていたのかもしれない。「人生の20年を日産の復活にささげた」と“日産愛”を掲げて企業再生への功績を強調、業務は公明正大だと不正を全面否定した▲最初の逮捕以来、50日ぶりとなるゴーン容疑者の公の場での発言だった。海外ではいまだに日産の内部抗争で陥れられたという陰謀論がささやかれている。何が飛び出るか分からぬ劇的な意見陳述に内外の注目が集まったのも当然だ▲国境をまたぐカリスマ経営者を逮捕することで、日本の刑事司法をグローバルな基準の中で問い直すことにもなったこの事件である。長期勾留で自白を強いるかのような捜査手法には海外の批判を機に日本国内にも違和感が広がった▲「勾留理由開示」の法廷、そこでの容疑者の意見陳述がこれほどの関心の渦の中で行われたのも日本の司法史では異例だろう。日本の法文化の曲がり角を示すのかもしれない「カリスマの弁明劇」である。

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