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社説

ゴーン前会長が無実主張 検察が背負った重い課題

 会社法違反(特別背任)容疑で逮捕された日産自動車前会長のカルロス・ゴーン容疑者が、東京地裁の勾留理由開示手続きで、「容疑はいわれのないものだ」と無実を訴え、勾留も不当だと述べた。

     特別背任容疑は、私的な金融取引の損失約18億円を日産に付け替えたとされるものだ。サウジアラビアの実業家が信用保証に協力してくれたことを受け、ゴーン前会長はいったん契約を自分に戻したが、その後、実業家に16億円送金していた。

     ゴーン前会長が損失額とほぼ同じ金額を送金した行為は不自然だ。日産の現地法人もこの送金を知らなかったという。

     だが、ゴーン前会長がこの送金をサウジアラビアとの交渉に向けたトップセールスの必要経費だと主張した場合、これを覆すことは容易ではない。これが立証のポイントの一つになるだろう。

     ゴーン前会長は、特別背任容疑だけでなく、昨年11月に最初に逮捕された役員報酬の虚偽記載(金融商品取引法違反)の起訴内容についても全面的に否認した。検察との全面対決の構図が見えてきた。

     検察は刑事責任の立証以外にもう一つ、ゴーン前会長の長期勾留に対する批判的な国際世論という重い課題を抱えている。

     ゴーン前会長の勾留は50日に及んでいる。この間、日本の刑事手続きに対する批判が海外メディアで報じられた。中でも長期勾留の問題は、日本の刑事制度が抱える構造的な問題ととらえるべきだ。

     容疑者が否認している場合、起訴後も保釈させずに勾留を長引かせ、精神的に追い詰める手法は、日本の司法当局が繰り返し行使してきた。

     過去に受託収賄罪に問われた鈴木宗男元衆院議員が否認を続け、437日間勾留された例がある。

     こうした手法は司法制度の中で当然視されてきたのも事実だ。だが、ゴーン前会長の勾留問題は、刑事手続きのあり方を見直すきっかけとなるのではないか。

     容疑者の取り調べに弁護士が立ち会えない問題もクローズアップされた。欧米の主要国では、不適切な取り調べをチェックする手段として実施している。刑事訴訟法の改正も視野に議論する段階に入っている。

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