太宰「津軽」に登場 「鯛事件」の女中判明 地元の主婦が調査

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太宰治の小説「津軽」に登場する女中の調査を振り返る牧野和香子さん=青森県藤崎町で
太宰治の小説「津軽」に登場する女中の調査を振り返る牧野和香子さん=青森県藤崎町で

 文豪・太宰治が1944年、津軽半島を約3週間かけて旅してつづった小説「津軽」。その中で描かれた三厩村(現青森県外ケ浜町三厩)の旅館で起きた“鯛(たい)事件”について、三厩在住の主婦、牧野和香子さん(67)が登場する女中が誰だったのかを突き止めた。【北山夏帆】

 鯛事件は44年5月、三厩の丸山旅館に2尺(約60センチ)のタイを持ち込んだ太宰が、女中に姿焼きを頼んだものの、切り身で振る舞われて憤慨したという小説の一幕。女中が誰なのか分かっていなかったが、牧野さんの独自調査で、当時住み込みで働いていた新谷左んこさんだと分かった。

 きっかけは、牧野さんが今別町の歴史と文化を記録する「いまべつを語り継ぐ会」(熊谷範一会長)に参加した時のこと。参加者の一人から「三厩に女中の子孫がいるらしい。調べてもらえないか」と言われた。定年退職まで町役場の職員として働き、観光客に頼まれて地元の調査などをしていた牧野さんは「また調べられる」と早速、作業を始めた。

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