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障害・高齢者の再犯防げ 司法と福祉が連携

「刑事司法ソーシャルワーカー」を目指し、弁護士から刑事手続きの流れを学ぶ社会福祉士たち=東京都港区で

 再犯を繰り返す障害者や高齢者の更生(立ち直り)を支援するため、弁護士と社会福祉士が連携する取り組みが進んでいる。東京社会福祉士会(大輪典子会長)は東京の3弁護士会と協力して「刑事司法ソーシャルワーカー(SW)」事業を実施。逮捕された時点から刑務所出所後まで継続的な支援を行うことで、再犯防止につなげようとしている。 

     昨年11月中旬。東京都内の会議室に約30人の社会福祉士が集まり、「刑事司法SW」になるための研修会が開かれた。参加者は刑事司法手続きの流れについて、弁護士や検察官の説明を受けた後、「万引きを繰り返す知的障害のある男性」をどう支援していくかをテーマにグループディスカッションを行った。

     参加した伊藤孝明さん(50)は普段、生活困窮者の支援に取り組んでいる。その活動の中で「罪を犯してしまう人も、自分が今支援している生活困窮者と同じような困りごとを抱えていると感じた。裁判などの知識を得ることで、刑事手続きの中での支援の必要性を知ることができた」と感想を語った。

     東京社会福祉士会と3弁護士会の「東京三弁護士会障害者等刑事問題検討協議会」が「刑事司法SW」事業を始めたのは2014年。弁護士が弁護を引き受けた事件で容疑者・被告に障害や認知症があると認識した場合、福祉士会に連絡し、同会がSW名簿から登録者を推薦する仕組みとなっている。

     SWは容疑者・被告と面会するなどし、どのような福祉面の支援を継続すべきかを「更生支援計画」にまとめる。必要に応じて公判にも証人として出廷し、裁判官に説明する。昨年度までの実績は既に125事件に上るという。

     刑事司法SWとして活動する今野由紀さん(44)は「(障害者支援の)専門家が当事者や家族のニーズを正確に把握しておくことが重要。(実刑が確定した場合も)刑務所出所後の生活の支援につなげることができる」と話す。

     今野さんは、認知症の夫と障害のある息子を介護していた高齢女性が万引きを繰り返した事件を担当したことがある。女性だけでなく、夫や息子にヘルパーを付けるなど支援を強化することで女性の負担を減らし、生活の安定につなげた。女性は執行猶予付きの判決を受けたが、今も定期的に連絡を取っているという。

     同協議会の働きかけで、法務省は昨年4月から東京地裁で懲役や禁錮、保護観察付き執行猶予判決が確定した人の「更生支援計画」を弁護人から受け取り、刑務所や保護観察所での処遇に生かす取り組みを始めた。同9月までに既に11件実施されている。

     東京以外では、大阪府や神奈川県でも弁護士会と社会福祉士会の連携が進んでいる。同協議会議長の石塚花絵弁護士(第二東京弁護士会)は「福祉の専門家が当事者の困りごとや必要な支援を把握し、受刑中の処遇や出所後の支援につなげるという取り組みが全国に広がってほしい」と話している。【蒔田備憲】

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