SUNDAY LIBRARY

岡崎 武志・評『光まで5分』『雑誌に育てられた少年』ほか

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今週の新刊

◆『光まで5分』桜木紫乃・著(光文社/税別1400円)

 桜木紫乃といえば北海道、というイメージがあるが、『光まで5分』は沖縄が舞台。北海道から流れてきた女ツキヨは体を売って生活。歯痛になり、モグリの歯医者万次郎、彼と同居する若者ヒロキと出会い、一緒に暮らし始める。

 ヒロキを保護しつつ、彼の背にモナリザのタトゥーを入れる万次郎。ツキヨを含む“聖三角形”を、著者は「傷だらけの天使」として描く。3人を労(いたわ)り見つめる、著者の情感あふれる筆が素晴らしい。

 穏やかに生きる彼らを揺るがす、ダニのような男・南原は、悪い金を吸い上げ、ヒロキを痛めつけ犯す。そして奥武島(おうじま)に渡ったツキヨたち。祈るユタ「おばあ」は、彼女を諭すように言う。「流された先にあるものをしっかり見なさい。ぜんぶ受け容れて、すべてを赦してやんなさい」

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