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余録

初めて訪れる国でまず尋ねるのは…

 初めて訪れる国でまず尋ねるのは「この国で、してはいけないタブーは何ですか」だった。「たとえば足を組んではいけないとか、日本人には何気ないことでもまず人の嫌がることを知っておくことでした」▲北極も南極も、訪れた場所は150カ国以上、総移動距離は地球180周分にも相当する。訃報(ふほう)が伝えられた旅行ジャーナリスト・兼高(かねたか)かおるさんが31年間、1586回にわたって続けたテレビ番組「兼高かおる 世界の旅」である▲テレビ放送が始まって7年目の1959年、まだ日本人の海外渡航が制限され、外貨持ち出し限度も1人1日あたり17ドルだった時代である。放送第1回のローマ取材はプロペラ機で香港経由、実に52時間をかけてたどりついたという▲取材はアポなし、段取りなし。出会った人の自宅を訪ねて食事を撮るという調子だから、最初にタブーを知る心構えは大切だったのだろう。ケネディ米大統領ら著名人との会見もあったが、取材相手のほとんどはその国の庶民だった▲海外旅行がまだ庶民には夢だった時代、日本人の外国へのあこがれと好奇心をかりたてた兼高さんの旅だった。かっこいい英語での会話にもまして耳に残るのは、「あれが~ですのよ」といった品のいい日本語のナレーションである▲番組が終わる少し前、兼高さんは乗ったタクシーの運転手に「番組で紹介したあそこ、この前行ってきたよ」と言われた。そうは簡単に行けぬ場所だった。「役割を果たした」。感慨がこみあげてきたという。

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