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平成という時代

平成最後の年を迎えた。平成は、グローバル化やインターネットの普及を背景に社会が大きく変化し、価値観の多様化が進んだ時代だった。さまざまな変化を追うとともに、その先にある次代をどう描いていくべきか考えたい。

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平成という時代

第3部 変化 漫画、多様化し成熟 京都精華大マンガ学部客員教授(マンガ産業論)中野晴行さん

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 平成は娯楽の構造と消費のされ方が大きく変わった30年だった。戦後の漫画文化をリードした手塚治虫さんが平成元(1989)年に亡くなり、「手塚なき30年」となった漫画文化は、昭和より読者の年齢層や媒体が広がったことで、あらゆる需要に応えられるように多様化していった。

 「週刊少年ジャンプ」はピーク時の95年に600万部以上を売り、「情報」としても消費されていた。子どもや若者はジャンプを読まなければ周囲の話題についていけなかった。しかし、読者と漫画の多様化もあり、同年に完結した「ドラゴンボール」以後は誰もが知っている「国民的漫画」が生まれていない。昭和の子どもたちは学校で「あしたのジョー」などを回し読みしたが、もうその光景は見られないだろう。

 ただ、それは漫画があらゆる読者の需要に応えられる文化として成熟した証しでもある。産業としても、アニメやドラマ、映画のメディアミックスの供給元として定着した。

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