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登下校時に地震などの災害が起きたとき、子どもとどうやって連絡を取り合えばいいのか。
大阪府教育委員会は緊急時の連絡用にスマートフォンを学校に持っていくのを認める方針を決めた。
子どもの居場所を確認できるだけでなく、避難の方法を教え、友だちの安否も確認できる。いつでも連絡が取れると思えば親も安心だろう。
ただし、小中学校へのスマホ持参は文部科学省が原則禁止とする通知を出している。府教委の決定は独自に「解禁」するものだ。
このため、スマホの携帯の是非について十分な議論が必要となる。
朝の登校時に発生した昨年6月の大阪府北部地震では、登校するか帰宅するか迷った子どもが多かったという。親からはスマホの携帯を認めるよう求める声が出ていた。
親の目が届かない登下校中の子どもの安全はもちろん確保する必要がある。だが、スマホ解禁による新たな負担や課題は多岐にわたる。
たとえば、学校でのスマホの管理をどうするか。校内での使用は禁止するため学校側で預かることが考えられるが、保管場所の確保や破損、盗難の防止対策が必要だ。日々の回収など先生の負担増にもつながる。
気がかりなのは、登下校時の利用だ。緊急時の対応が目的なのに、歩きスマホをしたり、友だちとゲームで競い合ったりすれば、本来の目的とはかけ離れていってしまう。
スマホを持たない子どもが疎外感を味わったり、親がスマホを持たせるのを強要されたと感じたりすることもあるのではないか。
さまざまな使い方があるスマホの便利さは言うまでもないが、同時に長い時間の利用やネット上のいじめなども深刻になっている。
大阪府教委は今年度中に具体的な使い方を定める指針をつくる予定だ。導入するかどうかは学校ごとの判断に委ねられるという。
登下校時の安全を確認できるメリットもあれば、学校や子どもにとってデメリットとなる側面も否定できない。議論を尽くすべきだ。
全地球測位システム(GPS)機能付き携帯端末を公立小の全児童に無料貸与している東京都品川区教委の例もある。災害に限らず登下校の安全確保に向けた議論も深めたい。