メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

黒武御神火御殿-三島屋変調百物語六之続

/159 第四話 黒武御神火御殿=宮部みゆき 題字・絵 藤枝リュウジ

「きっちり十年修業してこいと言いつけたときには、真実それが伊一郎のためだと思っていたしなあ」

「それは兄さんもわかっていましょう」

「しかし、あいつは私が情のない父親だとがっかりしたかもしれない」

 厳しすぎたとか、突っ放しすぎたとか、既にして酔っ払いの繰り言めいた呟(つぶや)きになっている。

 今は家族のことでも商いのことでもひどい苦労をしてはいないはずの伊兵衛だけれど、それでも年々白髪は増えるし、目元の皺(しわ)も目立つようになった。寄る年波ってやつに身を洗われて、爺(じい)さんになってゆくうちに、弱気の虫に噛(か)まれることもあるんだなあ。

「そんな心配をなすらなくたって、兄さんはおとっつぁんを心底敬愛していますよ。わたしはよぉく知ってます…

おすすめ記事

毎日新聞のアカウント

話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. インドネシア選管「職員119人死亡」 大統領選と総選挙で「過労」
  2. アクセス NGT48・山口真帆さん卒業表明で運営側への批判再燃 識者は「最悪の幕切れ」
  3. 九州新幹線にミッキーデザイン登場 5月17日から半年の期間限定
  4. 韓国警察、「JYJ」ユチョン氏の逮捕状請求へ 麻薬使用容疑で
  5. 埼玉・川口の小学校でクルド人いじめ深刻 支援者「特別視せず平等に対応を」 

編集部のオススメ記事

のマークについて

毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです