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黒武御神火御殿-三島屋変調百物語六之続

/159 第四話 黒武御神火御殿=宮部みゆき 題字・絵 藤枝リュウジ

「きっちり十年修業してこいと言いつけたときには、真実それが伊一郎のためだと思っていたしなあ」

「それは兄さんもわかっていましょう」

「しかし、あいつは私が情のない父親だとがっかりしたかもしれない」

 厳しすぎたとか、突っ放しすぎたとか、既にして酔っ払いの繰り言めいた呟(つぶや)きになっている。

 今は家族のことでも商いのことでもひどい苦労をしてはいないはずの伊兵衛だけれど、それでも年々白髪は増えるし、目元の皺(しわ)も目立つようになった。寄る年波ってやつに身を洗われて、爺(じい)さんになってゆくうちに、弱気の虫に噛(か)まれることもあるんだなあ。

「そんな心配をなすらなくたって、兄さんはおとっつぁんを心底敬愛していますよ。わたしはよぉく知ってます…

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