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余録

戦後の日韓国交正常化交渉は外交官の主張が衝突し…

 戦後の日韓国交正常化交渉は外交官の主張が衝突し、中断しながら10年続いた。妥結へ転じたのは、軍事クーデターで権力を握った朴正熙(パクチョンヒ)(後に大統領)、金鍾泌(キムジョンピル)(同首相)両氏が、経済発展に資金が必要と決断したからだ▲朴氏は日本の陸軍士官学校卒で酔うと軍歌を吟じ、金氏は「日本人より日本語が上手」と言われた。池田勇人首相は初め消極的だったが、大平正芳外相が「辞めさせられるかもしれないが、私が解決する」と交渉をまとめた▲日韓基本条約(1965年)締結後、韓国の国会は混乱し、新聞はこぞって批判。大規模な反対デモを、朴政権は軍の力で抑え込んだ。日本では新聞も世論も中立的で反対は一部にとどまった。体温の違う政治合意の産物だ▲元徴用工問題で日韓関係が悪化している。韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は新年記者会見でNHK記者に「後ろの記者をあてたんだけどね」と言った。政治家が外交問題から逃げるような態度は良くないが、日本も「国際法違反だ」と強気で押すだけなら政治家不在である▲朴氏は側近に暗殺され、弾圧を指揮した金氏は民主政治の定着に尽力し昨年、没した。韓国では歴代政権を告発するドキュメンタリー映画が次々ヒットを重ねている。基本条約体制を維持するには双方に政治の胆力が必要な時だ▲安倍晋三首相の「戦後外交の総決算」とはロシアと北朝鮮のことだろうが、このままでは韓国も課題に上りかねない。正論一本やりで朝鮮半島政策が進めば歴史はもっと平穏だった。

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