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岩間陽子・評 『西洋の自死…』『アフター・ヨーロッパ…』

 ◆『西洋の自死 移民・アイデンティティ・イスラム』=ダグラス・マレー著、町田敦夫・訳

 (東洋経済新報社・3024円)

 ◆『アフター・ヨーロッパ ポピュリズムという妖怪にどう向きあうか』=イワン・クラステフ著、庄司克宏・監訳

 (岩波書店・2052円)

 二〇一五年ヨーロッパ「難民危機」が始まった時、思い出したのは、昔歴史の授業で習った「ゲルマン人の大移動」だった。なるほど、人の移動で国が亡(ほろ)ぶとはこういうことか、と思った。その後様々な措置が取られ、ヨーロッパにやってくる難民の数は減少した。しかしこの危機以前から、ヨーロッパ内外の大規模人口移動は始まっており、その累積的な影響により、「ヨーロッパ」そのものが滅びる危機に瀕(ひん)しているとする書が相次いで邦訳された。

 ブルガリア人のイワン・クラステフは、欧州統合の理想としての力が、今まさに滅びんとしていることに警鐘を鳴らす。大学生としてソ連の崩壊を体験した彼は、現在の危機には既視感(デジャヴュ)があるという。ソ連邦もハプスブルク帝国も滅びたように、EUもまた瓦解(がかい)し、ヨーロッパが苦難と混乱の時代を迎える危険がある。「二一世紀において、移民は新たな革命である」と彼は言う。かつて人々は、自国の政府を倒し、…

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