メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

今週の本棚

小島ゆかり・評 『国宝 上(青春篇)・下(花道篇)』=吉田修一・著

 (朝日新聞出版・各1620円)

文学性と大衆性の見事な融合

 「その年の正月、長崎は珍しく大雪となり、濡(ぬ)れた石畳の坂道や晴れ着姿の初詣客の肩に積もるのは、まるで舞台に舞う紙吹雪のような、それは見事なボタ雪でごさいました」

 上下二巻、七百頁(ページ)を超える大河小説の、幕開けの一文である。艶やかで情感なつかしい語りの文体にまず、うっとりする。語り口調であればあるほど、その息づかいが聞こえるほどの、言葉運びのテンポや間合いが大切である。声量や抑揚が過剰になりすぎないよう、いかにも自然に聞こえなければならない。

 ひとつのチャレンジとも思われるこの語りの文体が、小説「国宝」という豪華絢爛(けんらん)たる舞台を支…

この記事は有料記事です。

残り1183文字(全文1490文字)

おすすめ記事

毎日新聞のアカウント

話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 体育館トイレ個室の壁が倒壊 女性下敷きで重傷 香川
  2. 池袋暴走、ドラレコに音声 87歳男性「あー、どうしたんだろう」同乗の妻の問いに
  3. 池袋暴走 ハンドルほぼ操作せず 87歳男性パニックか
  4. 大阪・あいりん半世紀、秘蔵ネガ1万枚ネット公開 地元カメラマン
  5. 校長のセクハラ告発女子生徒、焼き殺される 「自殺に見せかけるよう」校長自身が指示 バングラデシュ

編集部のオススメ記事

のマークについて

毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです