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小島ゆかり・評 『国宝 上(青春篇)・下(花道篇)』=吉田修一・著

 (朝日新聞出版・各1620円)

 「その年の正月、長崎は珍しく大雪となり、濡(ぬ)れた石畳の坂道や晴れ着姿の初詣客の肩に積もるのは、まるで舞台に舞う紙吹雪のような、それは見事なボタ雪でごさいました」

 上下二巻、七百頁(ページ)を超える大河小説の、幕開けの一文である。艶やかで情感なつかしい語りの文体にまず、うっとりする。語り口調であればあるほど、その息づかいが聞こえるほどの、言葉運びのテンポや間合いが大切である。声量や抑揚が過剰になりすぎないよう、いかにも自然に聞こえなければならない。

 ひとつのチャレンジとも思われるこの語りの文体が、小説「国宝」という豪華絢爛(けんらん)たる舞台を支える、大きな力になった。

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