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不法残留の外国人実習生、借金背負い万引き 母国に悪質仲介業者

男らのベトナム人グループが窃盗未遂事件を起こしたドラッグストア。店内で化粧品などをバッグに詰め込み持ち去ろうとした=福岡県宗像市で2018年12月28日、平塚雄太撮影

 今春から外国人労働者の受け入れが拡大されることになったが、懸念されるのが悪質な仲介業者の存在だ。福岡県内の商業施設などで窃盗を働き、昨年末に有罪判決を受けたベトナム人技能実習生は、母国の「送り出し機関」に支払うため、約200万円もの借金をしたが返済できず、不法残留し万引きを繰り返していた。識者は受け入れ拡大を機に対策強化の必要性を指摘する。【平塚雄太】

 「ベトナムには仕事がなく日本の方が稼げると思った。ベトナムのイメージを悪くし申し訳ありません」。福岡県などの商業施設で万引きを繰り返したとして窃盗罪などに問われたベトナム人の男(28)は、昨年12月3日に福岡地裁であった公判で声を震わせた。

 関係者によると、男は平均月収が2万円ほどとされるベトナム北部タイビン省出身。日本の技能実習制度を知り頼ったのが、ビザの手配や就労先のあっせんなどを行う現地の送り出し機関だった。渡航費や手数料などの名目で多額の費用を請求され、家族所有の土地を担保に約200万円を借金して支払った。

 2012年に来日し、東京都の土木会社で実習を始めた。月9万円の手取りから母国の家族に7万円の仕送りを続けたが、借金を完済できないまま在留期限の3年を迎えた。

 帰国せずに愛知県の自動車部品工場で働き始めたが、近くで不法残留のベトナム人が逮捕される事件があり、逃げるように退職。その前後から、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で知り合ったベトナム人の男女5人とつるむようになった。いずれも技能実習生として来日したが待遇に不満を抱き、実習先を逃げ出していた。

 「稼ぐには万引きしかない」。グループは昨年4月、外国人でも賃貸契約がしやすいと聞いた福岡市に移って部屋を借り、万引きで生計を立てるようになった。ドラッグストアや商業施設で服や医薬品などを大量にバッグに詰め込んでは逃げ出す大胆な手口で、盗品はSNSで転売した。

 防犯カメラから足がつき、福岡県警に逮捕され、その後、起訴された男は公判で「ベトナムでは悪いことをしたことがなかった」と涙ながらに訴えた。福岡地裁は12月11日、反省の態度が見られるとして、執行猶予付きの有罪判決を言い渡し、男はその後、強制送還された。

送り出し手数料100万円以上

 法務省が失踪した技能実習生2870人を対象に実施した聞き取り調査では、9割近くが送り出し機関に支払うため借金し、約半数は支払額が100万円以上だったと答えた。

 技能実習生が最も多いベトナムでは、送り出しが一種の人材ビジネスとして成立しているとされ、実習先を辞めた場合に数十万円の「違約金」を徴収するケースもあるという。

 日本政府は2017年以降、ベトナムなど実習生を多く輩出する各国と悪質な送り出し機関を排除する協定を結び、ベトナムなどは認定を受けた送り出し機関以外の仲介を禁止したり手数料に上限を設けたりしているが、現地では「効果が上がっていない」という指摘もある。

 斉藤善久・神戸大大学院准教授(ベトナム労働法)は、日本側の受け入れ団体や企業が送り出し機関に接待や賄賂を要求する事例もあり、手数料が高額になっていると指摘。外国人労働者の受け入れ拡大を機に「日本政府が現地に出先機関を置いて、直接仲介する仕組みを考えるべきだ」と提言する。

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