年末の買い物客がひしめく築地場外市場=東京都中央区で2018年12月30日、宮間俊樹撮影
柳原美砂子 毎日新聞 経済部副部長
みなさん、今年もよろしくお願いします。新年は「景気の良い」話から。政府は昨年暮れ、景気が良くなっている期間が2012年12月~18年12月の73か月(6年1か月)に達し、戦後最長記録に並んだ可能性が高いと発表しました。
これまでの最長記録は02年2月~08年2月の73か月。それに次いでいたのが、1965年11月~70年7月の57か月続いた「いざなぎ景気」で、終戦後、日本経済がどんどん成長し、高度経済成長期と呼ばれた時期でした。
景気が良くなった期間、悪くなった期間は、最終的には経済学者の人たちでつくる政府の会議が1年ほどかけて判定します。この会議は、現在の景気が良くなっている期間が、2017年9月時点ですでに「いざなぎ景気」を超えて戦後2位の長さになったことは認定しています。
もし、今月も景気が良くなれば、74か月となって戦後最長記録の更新です。新年早々おめでたい話のようですが、世間からは「実感がない」という声が多く聞こえてきます。それもそのはず、13~17年の5年間で、働く人の賃金(年平均)が増えたのは16年だけ。いくら景気が良くても、収入が増えなければ実感はわきませんよね。
もうかっている会社は多いのに、働く人の賃金を大幅に上げようとしないのは、日本の人口が減る中で「将来もうからなくなるかもしれないから、手元にお金を置いておこう」と考える会社が多いからだといわれます。しかも最近は、アメリカと中国が貿易をめぐって対立するなど、世界経済にとって心配な話もいろいろ出てきています。
景気の良い期間はこのまま最長記録を更新するかもしれませんが、大事なのは期間の長さよりも、暮らしが豊かになっているかどうかなのです。
経済部で、省庁や銀行、メーカーなどの取材を担当。趣味は散歩や山歩き。学生時代は少林寺拳法をやっていました。1973年福岡県生まれ。好物は、博多では生で食べることが多いサバ。