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認知症の人が突然、暴言を吐いたり、暴力をふるい始めたりしたら--。認知症で暴れる母を止めようとして起訴され、職を失った大阪市の男性と妻の裁判から、認知症の症状としての暴言・暴力とどう向き合うか探った。
●事件、事故死で争い
職を失ったのは、大阪大歯学部元助教の佐保輝之さん(58)。大阪市東淀川区で妻ひかるさん(55)と暮らす。佐保さんによると、2011年6月、同居していた母重子さん(当時80歳)が自宅で夜中に突然暴れだした。止めようとしたが2人や父守男さん(90)につかみかかったり、家具に頭をぶつけたりした。明け方に落ち着き、佐保さんは仕事に出掛けたが、夜に帰宅すると死亡していた。肋骨(ろっこつ)が折れ、多数のあざもあり、死因は外傷性ショックとされた。
2人は重子さんを暴行して死なせたと疑われ、9カ月後、傷害致死容疑で大阪府警に逮捕され、同罪で起訴された。「やっていない」。2人は一貫して無罪を主張したが、14年2月の1審・大阪地裁は同罪で懲役8年の実刑判決を言い渡した。ところが、15年3月の2審・大阪高裁判決は一転。「1審は母が認知症で暴れた可能性を考慮しておらず不合理」として傷害致死罪ではなく暴行罪を適用し、罰金20万円と大幅に減刑した。
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