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検証・災害列島

/1 旧態依然の避難所環境 床に段ボール敷き雑魚寝、運営の職員足らず

阪神大震災当時の体育館での避難所生活=神戸市兵庫区上沢通の小学校で1995年2月15日午後6時半

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 冷たい集会所の床に段ボールが敷かれ、1枚の毛布に避難者が2、3人ずつくるまって寝ていた。土砂と泥流に襲われた広島県坂町小屋浦地区。昨年7月6日の西日本豪雨から1週間近くたっても、毛布すら足りていない。避難していた会社員、西尾実さん(53)は「高齢の方は身体が痛い人もいます。敷きマットを提供ください」とツイッターでSOSを送った。

 坂町では人口の1割に当たる1300人超が避難した。避難先は、指定避難所13カ所と、集会所やホームセンターなど自主避難所3カ所。全97人の町職員と、他自治体からの応援職員では対応しきれなかった。西尾さんが避難した集会所は約70人が集まったが、運営する町職員はいない。当初、衣類や毛布は地元自治会がかき集めた。

 支援に入った全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)理事の阪本真由美・兵庫県立大准教授は「職員は災害対応に追われ、避難所の環境改善を考える余裕はないようだった」と指摘する。西尾さんが求めたマットは阪本准教授が手配した。

 大災害後、体育館や集会所に大勢の避難者が身を寄せ、雑魚寝で過ごす。プライバシーはない。何度も繰り返される光景だ。西尾さんは1995年の阪神大震災でも神戸市垂水区で被災した。自宅は無事だったが、近所の避難所の様子は見聞きした。「当時から避難所の環境は変わっていないんじゃないだろうか」。昨年10月末、記者に問いかけた。

 阪神大震災で、神戸市は最大23万6000人超が避難した。事前指定した避難所234カ所に入りきらず、寺や集会所、さらには公園にビニールシートを張って風雨をしのぐなど、計365カ所に自主避難所ができた。市職員の配置は被災者が多い指定避難所に限られ、ボランティアがバイク便で食料や物資を配った。

 長期にわたる避難生活で体調を崩し、死に至る「災害関連死」が新たな課題として浮上した。犠牲者は兵庫県内で919人(県調べ)、2011年の東日本大震災で3701人(復興庁調べ)。兵庫県立大の室崎益輝教授は「関連死が増えている傾向からして、避難所の環境が良くなっているとは言えない」と話す。

 13年に災害対策基本法が改正され、市町村には避難所の生活環境整備の努力義務が課された。だが、避難所や運営職員の不足は今も続き、避難所環境の大幅な改善は見込めない。毎日新聞が全国20政令市と東京23区に実施したアンケートによると、大阪、京都、横浜など5市と江戸川区など9区が、南海トラフ地震などが起きた場合に避難者を指定避難所で収容しきれないと答え、民間施設活用など対策に追われる。

 11政令市と東京都の17区は自主避難所ができた場合に職員配置の余裕がないと答えた。「指定避難所を増やそうにも、配置する職員が足りない」(浜松市)との声も上がる。

 避難所の環境整備は放置されるのか。西日本豪雨では、民間資格の「防災士」の地域ネットワークやNPOが避難所運営を支援した。阪本准教授は「災害支援NPOを資金面で支援したり、地域で防災士の取得に取り組んだりするなど、民間で避難所の環境改善のプロを育てていくことが重要だ」と指摘する。【井上元宏】=つづく

     ◇

 18年の日本列島は地震や豪雨、台風、酷暑など災害が多発した。災害から何を学び、いかに備えるか。5回の連載で考える。

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