連載

火論

社会部、ワシントン・エルサレム特派員などを歴任した大治朋子専門記者によるコラム。

連載一覧

火論

伊江島に始まる=玉木研二

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷

 <ka-ron>

 沖縄県の玉城デニー知事が昨秋の選挙戦で第一声を上げたのは伊江島だった。周囲22キロほど。平らなサトウキビの島は、沖縄戦と戦後苦難史の縮図といわれた。

 1945年4月16日米軍が上陸、6日間の激戦で守備隊将兵だけでなく、約1500人の住民が落命した。赤子を負って突撃する女性もいた。

 戦後の50年代は「銃剣とブルドーザー」と表現される米軍用地の強制的接収。伊江島住民の抵抗は沖縄本島も動かして「島ぐるみ闘争」に広がり、米軍側から一定の譲歩を得た。普天間飛行場の辺野古移設反対の知事が、まずここに立ったゆえんの一つだ。

 そのリーダーだった阿波根昌鴻(あはごんしょうこう)さん(2002年に101歳で死去)は戦前の青年期から一時沖縄を離れ、本土、キューバ、ペルーと転じた。キリスト教の洗礼も受けた。沖縄に戻り、家庭を持ち、あこがれのデンマーク式農法を取り入れようとするが、戦争で暗転。伊江島の戦いでは両親を失った幼い姉妹を保護し、自然の壕(ごう)を転々とした。一人息子は沖縄本島で戦死する。

この記事は有料記事です。

残り583文字(全文1035文字)

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る
この記事の筆者
すべて見る

注目の特集