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核兵器の廃絶に向けた潮流といえよう。核兵器関連企業との取引を禁止する金融機関が世界でじわりと広がっている。
国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)とオランダの平和団体「パックス」の調査によると、2017年10月時点で核兵器製造企業への融資を全面的か部分的に禁止している金融機関は、欧米を中心に63社あった。
日本では昨年、りそなホールディングス(HD)が融資の禁止を公表した。核兵器製造を使途とする融資を禁止している例はあるが、事業を問わず当該企業への融資を禁止するのは、大手銀行では初めてという。
りそなHDに限らず、核兵器製造企業にもともと融資していない銀行だからこそできるという面はあるだろう。軍事企業の多くは民生部門が主で、一切の融資を禁止するのが困難な金融機関が多いのも事実だ。
それでも、金融機関が率先して非人道的兵器の製造に厳しい目を向けることは意義がある。核廃絶への責任は民間の企業も担うべきだという規範を示すことになるからだ。
注目すべきは、国連で核兵器禁止条約が採択された17年に急増したことだ。15年は53社、16年は54社だったが、一気に9社増えた。
条約は核兵器の開発や製造のほか、「援助」を禁じている。金融機関からの投融資はこれに抵触するおそれがあるという。条約の発効を待たずにリスク回避に動き、企業イメージを向上させる狙いもあろう。
非人道的兵器の製造企業を対象から外す投資原則が国際的に広がるなか、追随する金融機関が増えていっても不思議ではない。
日本政府はこの機運を逃さず、核廃絶の動きを後押しすべきだ。
先月、日本が25年連続で提出した核兵器廃絶決議が国連総会で採択された。しかし、前年は共同提案国だった米国は決議で強調された軍縮履行義務を嫌って棄権に回った。
一方、前年に続いて核兵器禁止条約への言及がなく、多くの条約推進国が棄権した。その条約も批准したのは19カ国・地域にとどまり、発効に必要な50カ国に遠くおよばない。
米露が核戦略を強化し、核廃絶に逆行する危うさがある。押し戻すには官民挙げた取り組みが必要だ。
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