五輪招致の正当性が問われる事態をどうとらえているのか。対応に疑問が残る記者会見だった。
2020年東京五輪・パラリンピックの招致活動を巡り、フランス司法当局は竹田恒和・日本オリンピック委員会(JOC)会長に対して贈賄容疑で本格的な捜査を始めた。
招致委員会の理事長だった竹田氏は東京都内で記者会見を開き、疑惑を全面否定した。しかし、会見は7分間に過ぎず、用意した文書を読み上げる形で一方的に潔白を主張して終わった。仏当局の捜査を理由に質疑応答の時間も設けなかった。
疑惑は招致委とシンガポールにあるコンサルタント会社との契約に関連するもので、英紙の報道で16年5月に表面化した。
東京開催が決まった13年9月の前後に招致委はコンサルタント会社に計2億3000万円を送金した。この一部が国際オリンピック委員会(IOC)関係者やその親族に流れたとの疑いがもたれている。
JOCは表面化当時、第三者を交えた調査チームを設置し、違法性はないとの調査報告書をまとめた。
竹田氏は会見で、支払いは業務に対する適切な対価であり、コンサルタント会社とIOC関係者らとの親交も知らなかったと強調した。
いずれも調査チームの報告書に沿った内容だ。既に解決済みの事案との認識かもしれないが、捜査が始まった以上、それでは甘すぎる。
報告書は、金銭の流れの解明につながるIOC関係者らの協力がないまま作成された。にもかかわらず、JOCは「疑惑は払拭(ふっしょく)された」と幕引きを図った。徹底した調査に乗り出さず、決着を急いだことが今回の事態を招いた一因と言えまいか。
02年ソルトレークシティー大会招致に際しての買収疑惑を契機に、開催地決定の投票権を持つIOC委員の立候補都市訪問は禁止された。
その分、ロビー活動を請け負い、IOC委員と立候補都市との仲介役を果たすコンサルタントの役割が重要になっている。
招致を巡る裏金との疑念がもたれている以上、コンサルタント費の使途についても責任ある説明をする必要がある。このままでは東京五輪のイメージが傷つきかねない。情報公開に進んで応じるべきだ。