- Twitter
- Facebook
- はてなブックマーク
- メール
- リンク
- 印刷

井上荒野(いのうえ・あれの)さん(57)
「その話は今日はやめておきましょう」(毎日新聞出版)で受賞した。デビューから30年、「切羽(きりは)へ」での直木賞から11年。脂が乗ってきた。
「賞は作品の出来の他にタイミングもある。読者、選考委員ら読み手が私の小説に目を留めてくださるだけでうれしい」。退職後に静かに暮らす老夫妻の心の明滅ぶりを描く。悪事をたくらむ青年が現れてからの2人の日常は、読者の心を揺さぶったりなだめたりする。筋の運びについて、「サスペンシブな展開に妙があった」と称賛された。
井上さん宅には実際、「週1回掃除に来る青年がいた。出来のいい人で、来なくなったら私たち夫婦はどうなるだろう、というのが書くきっかけです」。小説の描写でも「クロスバイクで夫とランチ」など実生活を取り入れた。
この記事は有料記事です。
残り310文字(全文660文字)