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余録

「英国人は物事がどれほど悪いかを…

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 「英国人は物事がどれほど悪いかを聞くのを好む唯一の人々であり、最悪を聞くことを好む人々である。将来はもっと悪くなる可能性があり、一層の不運に備えて準備せねばならぬことを聞いて喜ぶ人々である」▲これは欧州大陸をナチスに制圧され、絶望的な孤立を強いられた時の英首相、チャーチルの言葉である。まだ国内にナチに融和的な人々もいた中、動揺する国民を鼓舞(こぶ)し、国論を反ヒトラーにまとめ上げた彼の弁舌とユーモアだった▲時代変わって欧州大陸との関係をめぐり国論を四分五裂させる今日の英国である。むろん欧州連合(EU)からの離脱をめぐるすったもんだのことだが、気がつけばEUとの合意なき離脱という最悪の事態がすぐそばまで迫っている▲英下院はメイ首相がEUとの交渉でまとめた離脱合意案を大差で否決した。首相は直ちに与野党と調整して代替案をまとめ、EUと協議するという。だが仮に代替案ができてもEUは再交渉を拒んでいるから、先の見通しはつかない▲もし合意なしの離脱となれば、金融、物流への破局的影響は避けられない。ある試算では8%ともいわれる英経済の落ち込みは世界経済の先行きに大きな影を落とし、英国に進出した日本企業も深刻なダメージを覚悟せねばならない▲いくら英国人が「悪いこと好き」でも、国論の分裂の果ての混沌(こんとん)には耐えられまい。離脱期限の延長、国民投票再実施もとりざたされるが、難局を結束へと変える政治家の不在はいかんともしがたい。

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