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平成の事件ジャーナリズム史

(1)はじめに 平成という時代のジャーナリズム

平成の始まりを象徴することになった連続幼女殺人事件です。犯行の様子をビデオで撮影するという、それまでになかった犯罪に社会は衝撃を受けました=2008年6月17日夕刊

 平成という時代は、ジャーナリズムを考える上でとても貴重な30年余です。

 昭和という時代については、歴史家の保阪正康さんが、戦争、敗戦、占領、テロ、クーデター、貧困など人類史が体験したすべてのことが詰まっている希有(けう)な時代だと総括しています。保阪さんの総括にならってジャーナリズム史の観点から平成を振り返ってみると、平成は、大きな事件や災害が相次ぎ、メディアの役割や力量が改めて問われるとともに、誤報や過剰報道、人権やプライバシーの侵害、権力からの圧力、そしてインターネットとスマートフォンによって、誰もが発信可能になり、フェイクニュースという恐ろしい妖怪も登場するという、ジャーナリズムが初めて体験する事象が起きた時代です。メディアとしても、事件報道で逮捕された人物の呼び捨てをやめて「容疑者」呼称を採用したり、報道を外部の目でチェックする第三者機関を創設したりするなど、自己改革に取り組んだ時代でもあります。

 グーテンベルクの印刷技術発明をしのぐような情報技術革命は今現在も進行しています。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の登場によって、メディアが情報発信を特権的に行うという前提は崩れました。昭和の終盤に記者になり、平成を生きてきた私が、平成のジャーナリズム史をいくらかでも後世に伝えていきたいと考えた理由は、実はここにあります。みんなが発信できる時代は、みんなが「発信の責任」を負う時代で…

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小川一

1958年生まれ。1981年に毎日新聞社入社。社会部で事件取材を長く担当。社会部長、編集編成局長、取締役・編集編成担当などを経て18年6月から毎日新聞グループホールディングス取締役。

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