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社説

米ミサイル防衛の宇宙展開 むしろ中露と軍縮進めよ

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 世界が一段ときな臭くなってきた。米トランプ政権は2010年以来9年ぶりとなる「ミサイル防衛見直し(MDR)」を発表し、宇宙空間も利用してロシアや中国の追随を許さないミサイル防衛(MD)システムを築く方針を明らかにした。

     米中露はマッハ5以上の「極超音速ミサイル」を開発中で、昨年末にはロシアがマッハ20を超えるという「アバンガルド」を発表した。従来のMDでは迎撃不能といわれる。

     こうした動きをにらんで、米国は昨年内の予定だったMDRの発表を年頭まで遅らせたのだろう。発表にあわせて演説したトランプ大統領は6項目の方針を示し、MD技術に関して米国は「常に他国の数歩先を行かねばならない」と強調した。

     また、6項目の最後に「米国が守っている豊かな国々」の「公正な負担」を求めた。108ページのMDRも随所で日本との協力に言及しており、費用負担も含めて日本への要求が強まるのは確実だ。

     米国は今回、見直し報告の名前を「BMDR」から「MDR」に改めた。危険なのは従来の弾道ミサイル(BM)だけではない。極超音速や巡航ミサイルも警戒すべき存在になっているとの認識からだ。

     地上レーダーでは探知が困難な極超音速ミサイルに対抗して宇宙空間でセンサー網を強化し、ミサイル攻撃用兵器の宇宙配備も検討する方針だ。まだ実験的な措置とはいえ、レーガン政権の大掛かりな戦略防衛構想(SDI、スターウォーズ計画)がよみがえった感がある。

     だが、巨費を要するSDIが計画倒れに終わったことを思い出したい。互いに軍事費を増額しても一向に安全にならない。そんな軍拡路線の弊害は冷戦中にいやというほど体験したはずだ。今また米露中の三つどもえで軍拡のチキンレースへ突き進むのは愚かというしかない。

     トランプ政権は冷戦期の歴史的合意とされる米ソの中距離核戦力(INF)全廃条約も破棄する姿勢を変えていない。しかし、軍拡で露中を引き離そうとするより、3国で軍縮を進める方がはるかに賢明で合理的だ。MDRは北朝鮮やイランにも強い警戒感を示しているが、ミサイル拡散を防ぐためにも、世界的に軍縮ムードを醸成すべきである。

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