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母と元教育長、歩んだ道(その1) 「AED使って」訴え

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明日香さんを偲ぶモニュメントに座る母の桐田寿子さん(右)と桐淵博さん=さいたま市北区で2018年12月、梅村直承撮影
明日香さんを偲ぶモニュメントに座る母の桐田寿子さん(右)と桐淵博さん=さいたま市北区で2018年12月、梅村直承撮影

 前日の雨から一転して暖かい日和になった昨年の年の瀬、さいたま市北区の市立日進小学校グラウンド。体操着姿ではしゃぐ子どもたちを、看護師の桐田寿子(ひさこ)さん(48)がまぶしそうに見つめていた。傍らには、かつて市教育長を務めた桐淵博さん(65)がいた。

 校庭の一角にモニュメントがある。茶色いラクダのブロンズ像10体が、冬の陽光に映える。寿子さんの亡くなった娘が憧れたシルクロード。像は死後、しのんで造られた。「学校と裁判をしていたら修羅の道を進んでいたと思う。娘だったら、どう考えるだろう。常にそう問い続けながら生きてきました」。寿子さんがそっとつぶやいた。

 同じグラウンドで2011年9月。同小6年だった寿子さんの長女、明日香さん(当時11歳)が駅伝大会の練習中に1000メートルを走り終え、突然倒れた。教員たちは「脈も呼吸もある」と判断した。救急隊が来るまでの11分間、学校にある自動体外式除細動器(AED)は使われず、心臓マッサージも行われなかった。救急隊到着時に心肺停止状態だった明日香さんは意識が戻らないまま翌日、家族に見守られながら息を引き取った…

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