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社説

露外相の北方領土発言 交渉の基盤を危うくする

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 ロシアのラブロフ外相が年頭の記者会見で、日本が北方四島の領有権を主張するのは「国連憲章の義務に明白に違反している」と述べた。

 日本の国内法で「北方領土」という呼称を使っていることを批判し、「第二次大戦の結果を世界で認めていない唯一の国だ」とまで言った。

 ラブロフ氏が例示したのが国連憲章107条だ。しかし、これは国際法上、ロシアに北方領土の領有権を認めたものではなく、日本に従うべき義務を定めたものでもない。

 大戦の結果として「敵国」に対してとった行動は「無効」となるものではないという趣旨で、個別の降伏条件について国連は責任を負わないことを目的にした条文とされる。

 ロシアは「大戦の結果」として北方四島がロシア領になったと主張する。その根拠とするのが1945年の米英ソ首脳によるヤルタ協定だ。

 だが、ドイツ降伏後のソ連の対日参戦と千島列島引き渡しを示し合わせた密約に過ぎず、国際法としての拘束力はない。日本は当事国ではなく拘束される義務はない。米国も後に密約を「無効」と宣言している。

 「国連憲章違反」というラブロフ氏の解釈は、こうした根拠の弱さを補強しようと持ち出したのではないか。だからといって、ロシアの主張に無理があるのは変わらない。

 そもそも第二次大戦では、米英が41年の大西洋憲章で「領土不拡大の原則」を示し、連合国はソ連も含めてこれを支持する宣言に署名した。

 この原則は43年に対日方針を定めた米英中首脳のカイロ宣言に引き継がれた。領土拡大を明確に否定したのが連合国の一貫した態度だった。

 にもかかわらず、ソ連は終戦間際に日ソ中立条約を破って北方四島に侵攻し占拠して領土拡大を試みた。これこそ国際規範に反する行動だ。

 日露の平和条約交渉は互いに「法と正義」を重視してきた。ロシアが法的な裏付けを欠く主張を続けるのなら、交渉の基盤が根底から覆る。

 ラブロフ氏は先の河野太郎外相との会談でも、北方領土への「ロシアの主権」を認めるよう迫った。一方的な態度では交渉は前に進まない。

 22日には安倍晋三首相とプーチン露大統領がモスクワで会う。対立をあおるのではなく、解決策を探る冷静な協議を行うべきだ。

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