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短歌月評

あたたかな日向=加藤英彦

・記憶といふものだんだん薄れゆくやうな豊かさといふ日向あるなり 馬場あき子

 ゆっくりと風が雲を刷くように記憶が薄れてゆく。今が過去の延長でなく新たな光に満ちているなら、それは無垢な豊かさの訪れにちがいない。日向の温もりはそんな錯覚に私を誘う。

 一昨年、平均寿命は女性で八十七歳、男性で八十一歳を超えた(厚労省統計)。これは若年死を含んだ数値だから、実際の長寿年齢はもっと高いだろう。高度成長期に入る昭和三十年の女性の平均寿命が六十七歳、男性が六十三歳だったことを思えば隔世の感がある。

 高齢化に伴う生活環境の課題の多さを承知の上で、私はこれを喜ばしいと思っている。短歌の世界にもどこか豊饒な稔りの風が生まれる予感がする。

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