会員限定有料記事 毎日新聞
御岳山(みたけさん)(東京・奥多摩)の山頂にある武蔵御嶽神社は、鎌倉時代には鎌倉幕府の方角に正面を向けていたが、江戸時代になり、江戸へと向きを変えたといわれています。
ケーブルカーの始発まで間があり、まだ登山者や参拝者の姿がない朝の時間。冷たくも静謐(せいひつ)で気持ちのよい空気のなか、御嶽神社への階段を上ると、境内は太陽の光を浴びて橙(だいだい)色に輝いていました。それはまるで、東の方位にある当時の都を見守るかのような構えでした。あらかじめの約束通り境内へと入ると、ひとりの神官が待っていました。
御岳山には、39世帯160人ほどの住民から成る集落があります。そのうち宿坊は26軒。いずれもが神官…
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