沖縄県議会議長、3択案「厳しい」 辺野古移設賛否の県民投票
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設の賛否を問う県民投票(2月24日)で、県議会の新里米吉(しんざとよねきち)議長は21日、投票時の選択肢を2択から3択に変更して全県下での実施を目指す県民投票条例の改正案について、「現段階で各会派がまとまる見通しがない。厳しい」と述べた。
県議会与党の一部会派が3択案に難色を示したため、新里議長は21日に模索していた各派代表者会議の開催を見送った。一方、約9万人分の有効署名を集めて県民投票の実施を県に求めた「『辺野古』県民投票の会」が21日、全県下での実施を目指して3択案を容認する考えを示すなど、県民投票を巡る状況は依然として流動的だ。
県民投票については、宜野湾、沖縄、うるま、宮古島、石垣の5市の市長が投票事務に必要な予算案が議会で否決されたことを受けて「実施しない」と表明している。市長らは「賛成、反対の2択では県民の多様な意見を反映できない」と述べており、新里議長は19日、選択肢に「どちらでもない」を加える条例改正案を県議会各会派に提案する考えを記者団に示していた。
しかし、玉城(たまき)デニー知事を支える与党3会派のうち共産を除く2会派は20日、「賛成、反対の2択で約9万人の有効署名が集まって条例が制定された。今から3択にするのは筋が通らない」などとして、あくまで現行の2択での投票実施を5市に求めることを確認した。
一方、「県民投票の会」は21日、「条例制定後に改正を論議するのは民主的手続きを覆すものだが、全市町村での実施を行う政治的環境が整うのであれば柔軟に対処する」とする声明を出し、3択案を容認する考えを示した。
不参加を表明している宜野湾市の松川正則市長はこの日、3択案について「(提案があれば)市議会と相談するが、何とか調整は可能かなという感じがする」と記者団に述べた。うるま市の島袋俊夫市長も選択肢を増やすよう県に求めており、3択に変更する条例改正が実現すれば、5市の市長が態度を変える可能性がある。【遠藤孝康】