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蔵書拝見

石破茂氏/下 「蒼ざめた馬を見よ」 共感と非情さの間

 仕事で頭がしびれてしまった時は普通の小説を読み直したりする。渡辺淳一、三浦綾子、井上靖あたりかな。朝から晩までこういう(安全保障や憲法の)本を読んでいるわけではないんです。五木寛之さんに触れたのは中学2年。毎日新聞のエッセーを読み、「こんな面白い文章を書く人がいるのか」と思った。

 この作品は高校生の時に読んだ。日本の新聞記者がソ連から反体制作家の原稿を持ち出し、「蒼ざめた馬を見よ」のタイトルで刊行させ、ソ連の人権状況への批判を高めたものの実は……という内容だ。冷戦とは単なる核兵器による「相互確証破壊」だけでなく、いろんな謀略や知的な戦争があると知った。権力に翻弄(ほんろう)される個人は無力なのかもしれないという一種の諦観が描かれ、むき出しの怒りでないだけに、より心に残った。

 内務官僚だった父はソ連に強い関心があった。鳥取県知事時代に何度かソ連を訪れ、母に「理想の国なんてど…

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