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中国経済の成長減速 貿易戦争の不気味な影響

 米中貿易戦争の不気味な影響が景気に表れてきたと言えよう。

 中国の昨年の国内総生産(GDP)は、実質成長率が6・6%に減速した。天安門事件で日米などの経済制裁の影響を受けた1990年以来、28年ぶりの低い水準である。

 貿易戦争に伴う先行き不安で消費や生産が振るわなかった。今年の成長率はもっと下がるとの見方もある。だが深刻なのは中国だけではない。米中経済は深く結びついており、中国の不振は米国に波及しつつある。今回明確になったのは、貿易戦争の勝者はいないということだ。

 端的に示すのは、世界最大である中国の自動車市場の低迷である。昨年の新車販売台数は28年ぶりに前年を下回り、中国に活発に進出してきた米国メーカーも大幅に減った。ゼネラル・モーターズ(GM)は中国が最大の市場だけに痛手だ。

 年明けには米国発の世界株安が起きた。中国経済の低迷が、米アップルの中国でのスマートフォン販売を落ち込ませるとの不安が広がった。

 米中両大国の景気停滞は世界に波及する。日本への影響も免れない。それが米中経済をさらに冷え込ませる悪循環を招きかねない。

 貿易戦争のもう一つの懸念は、中国政府が景気悪化の阻止を優先して、中国経済の安定に必要な構造改革を遅らせかねないことである。

 中国経済の最大の問題は、非効率な国営企業中心に膨大な借金を抱えていることだ。中国政府はリーマン・ショック後、巨額のインフラ投資を行い、その際の借金が今も残る。

 習近平指導部はインフラ投資の抑制などで借金の削減を図ってきた。だが貿易戦争を受け、再び景気刺激策に軸足を移している。改革が棚上げされると、不健全な経済が温存される。世界経済がリスクを抱えることになり、米国にもマイナスだ。

 米中は世界経済の安定に責任を負っている。両国が現在行っている通商協議を通じて、不毛な貿易戦争を早期に終わらせることが必要だ。

 株価が最近落ち着いているのは、協議進展への期待があるからだ。トランプ大統領はわきまえてほしい。

 中国は、貿易をゆがめていると批判される国営企業への補助金の削減などに取り組むべきだ。改革の実行が貿易戦争の解決にも資する。

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