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余録

彩りの乏しい冬…

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 彩りの乏しい冬、中国の文人画家たちは寒中に凜(りん)とした姿を失わぬ花や植物を「友」にたとえた。「歳寒三友(さいかんのさんゆう)」とは松竹梅。厳寒期に緑を保つ松と竹、花を咲かせる梅は日本ではめでたいものの代表になる▲同じく「雪中四友(せっちゅうのしゆう)」があって、こちらは雪中でも花をつける玉(ぎょく)梅(ばい)、臘梅(ろうばい)、水仙、山茶(さんちゃ)(ツバキの漢名)のことという。物の本には「いずれも厳寒を冒(おか)して開き、香気馥郁(こうきふくいく)なるもの」とある。「寒中の香気」が文人らを魅了したのだ▲ただしツバキの花は香りがなく、芳香があるのは日本名の山茶花(さざんか)だからややこしい。そのサザンカも寒中の香りは乏しいというが、雪景色に鮮やかな紅をともすツバキやサザンカにこの世ならぬ香気を感じた文人がいておかしくない▲「雪中花」の異名のあるスイセンのさわやかな香りの成分は天然香料として用いられた。ロウバイの甘い香り成分もスイセンと共通するものがあるという。英語名ウインター・スイートのスイートは香り、つまり「冬の香り」である▲そして玉梅、つまり白梅の気品のある芳香である。「……数枝(すうし)の梅 寒を凌(しの)いで独り自ら開く 遥(はる)かに知る是(こ)れ雪ならずと 暗香(あんこう)の来る有るが為(ため)なり」は王安石(おうあんせき)の詩。暗香--遠くから漂う香りのおかげで雪ではなく花と分かるのだ▲大寒から節分の間は1年で最も寒さが厳しいとされる時季である。人もまたいてつく試練の時にあって、さわやかな香気を失わずに希望を伝える存在でありたい。すぐ隣まで来た春をも告げる四友の芳香である。

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